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61羽 ページ22





「つーかあれじゃね?あいつ、白鳥沢の白鳥!」
「うわ、マジだ……なんで白鳥沢の白鳥が烏野にいるんだ……?」
「知らねぇ……けど、マジで可愛い……。」
「顔きめぇぞお前。」



やはりAが白鳥沢の白鳥であるということは宮城県内では殆どの選手に知られている。こういった場で噂されてしまうのは無理もないと分かりつつ、Aの内心は穏やかではなかった。

噂話に顔をしかめるAに対して、清水は落ち着いてと肩をとんとん叩きながら声をかけた。







「エアーサロンパスのにおい!」


すんと鼻を鳴らした日向がはっきりそういった。Aも少し共感してしまったのはここだけの話だ。この匂い、この空気、何度経験したって心踊る。子供っぽいかもしれないけれど、なんとなくそうなのだ。


会場の空気感を楽しんでいると、「きたっ!」「ゲッ、でか!」と、背後でざわつく声が聞こえた。烏野が振り返ると、そこには眉のない男を筆頭に、『伊達工業高校』の文字を背負った伊達工バレー部がいた。

伊達工の団体は烏野の前で立ち止まる。眉なしの男は腕をゆっくり上げたかと思うと、床に並行にその腕を伸ばして人差し指を東峰に向けた。初対面で無言の指差し、その不躾と言える態度に言葉を発そうとした西谷を東峰がとめる。

しんと静まり返った、東峰と眉なしの男が睨み合う異様な空間。そこに別の男がやってきて、何度も謝りながら男の腕を下げようとした。



「おい二口、手伝え!」
「はーい。すみません、こいつエースと分かるとロックオンしちゃう癖あって。」



そう笑顔でいいながら片手で男の手を下げる七三分けの男は、だから、と続けて挑戦的な笑みを浮かべる。



「今回も覚悟しといてくださいね。」



そういい残し、伊達工バレー部は去っていった。








「2人も知ってるとおり、公式戦でベンチ入りできるマネージャーは1人だけです。」



烏養、武田、そして清水とAは場所を移してそんな話をしていた。

真剣な空気の流れるその場。Aは居辛さとどんな顔をしていいか分からない思いでいた。隣に立つ清水はいつにもまして険しい表情だ。



「……正直、すっげぇ悩んだ。長年の信頼か、的確なアドバイスか。どっちも今の烏野には必要で欠かすことはできない……それでも決めなきゃなんねえ。

ごちゃごちゃ言い訳がましいことは言いたくねぇが、それだけ知っといてくれ。結果的に今回ベンチに入るのは――清水だ。」





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ラー油 - すみません たしか西谷さんの回転レシーブはローリングサンダーだと思います。 (2021年4月4日 8時) (レス) id: 0628ebf5e7 (このIDを非表示/違反報告)
Sacco - 47羽目にセットアップとなってますが、セッターではないでしょうか?突然申し訳ありません。とても素敵な小説ありがとうございます。これからも応援してます。 (2016年8月8日 14時) (レス) id: f404a711c2 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - さっこさん» すいません!ありがとうございました! (2015年8月31日 21時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 朝日になっています (2015年8月31日 20時) (レス) id: 92e8049c9f (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - 人生オワタな奴さん» そうですか、よかったです!いえいえ、大丈夫ですよ!私は結構誤字が多いので、これからも見つけたらよろしくお願い致しますm(._.)m (2015年8月22日 16時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2015年8月13日 10時

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