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59羽 ページ20





「あぁ、そうか!Aはもともと白鳥沢のマネージャーだったんだもんな!」
「そんでもって牛若のお気に入り、だったか?」
「改めて考えたらすごいなぁ、Aちゃんって。」



西谷、田中、東峰がそれぞれ口々に言う。それはどれも決して貶す様な言葉ではないが、Aの表情は暗かった。



「……?Aちゃん、どうかした?」



菅原がいち早くそれに気づき、Aに尋ねた。はっと割れにかえったAが周りを見渡せば、皆が心配そうに自分を見ている。慌てて首を横に振って、精一杯に笑顔を浮かべる。



「大丈夫です。すみません。」




その後、IH予選の話が出てからも、Aにすら秘密にされていた清水からのサプライズがあっても、表情に変化あれどAの顔が晴れることはなかった。









「Aー!一緒にかえろーぜ!」
「あ、うん。」



1人で帰ろうとしていたところを日向に呼び止められた。日向の横には珍しく影山もおり、3人で帰ることになった。

他愛もない話をしながら歩む道中。一瞬沈黙が起きて、日向が少し気まずそうに口を開いた。



「なぁ、A……。聞いてもいいか?」
「……若先輩のこと?」



影山と日向は2人で顔を見合わせると、Aの方を見て同時に頷いた。真っ直ぐ、あまりに真っ直ぐな瞳だ。

そんな2人に少し困ったような表情を浮かべながらも、Aは口を開く。



「別に大したことじゃないよ。私は、ただ……若先輩が、怖いだけ。」



そう言って軽く笑ったAの笑顔には、本来笑顔にあるはずの穏やかな雰囲気はなかった。寂しそうで、苦しそうで、儚いその笑顔に日向と影山は一瞬言葉を失う。次に大げさなくらい慌て始めた。

何をそんなに慌てているんだろうと疑問に思った直後、Aは自分の頬が濡れていることに気づく。そんな気は毛頭なかったのに泣いていたのだ。



日向と影山の単細胞2人はこういったときどうしていいのか分からないらしく、「影山どうにかしろ!」「はぁ!?お前が聞くって言い出したんだろ!」とボソボソ言い合っているのが聞こえた。

Aはすぐに涙をふき、笑顔を見せる。



「……ごめん、私こっちだから。送ってくれてありがとう。」



今にも夜の闇に消えていってしまいそうな、そんな脆さすら感じさせる笑み。いつもの彼女とは全く違うその笑みに、頬に熱が集まったことを日向と影山は嫌でも感じさせられた。




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ラー油 - すみません たしか西谷さんの回転レシーブはローリングサンダーだと思います。 (2021年4月4日 8時) (レス) id: 0628ebf5e7 (このIDを非表示/違反報告)
Sacco - 47羽目にセットアップとなってますが、セッターではないでしょうか?突然申し訳ありません。とても素敵な小説ありがとうございます。これからも応援してます。 (2016年8月8日 14時) (レス) id: f404a711c2 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - さっこさん» すいません!ありがとうございました! (2015年8月31日 21時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 朝日になっています (2015年8月31日 20時) (レス) id: 92e8049c9f (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - 人生オワタな奴さん» そうですか、よかったです!いえいえ、大丈夫ですよ!私は結構誤字が多いので、これからも見つけたらよろしくお願い致しますm(._.)m (2015年8月22日 16時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti  
作成日時:2015年8月13日 10時

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