51羽 ページ12
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その後菅原もやって来たため、菅原に日向を任せてAは先に体育館へ戻った。その道中も今も、Aはずっとあの少年の言葉を気にしていた。
「白い烏さん、かぁ……。」
遠回しに白鳥と言っているようなものだが、Aが白鳥だと気づいた様子もなかった。それに分かっているなら普通に白鳥と言うものだろう。それをしなかった……その理由は一体?
彼女が帽子を被っていたため白鳥とばれたくなくて変装していると思い、こちらに配慮して遠回しに言ったのか?……いや、そもそも人混みでもないのに配慮する必要はない。つまり、白鳥と気づいていないのだろうか?しかし烏であるとは気づいていた。
烏、つまり烏野であると気づける点は2つ。日向のTシャツの胸にかかれた英単語と、この真っ黒なジャージだけだ。もしも日向のTシャツの小さな文字を読み取っての推察だとすれば……。
「相当な観察力の持ち主……。」
あの少年もバレーをしているようだった。しかし県内では見たことのない真っ赤なジャージ……それは見る機会もないような弱小チームという事か、あるいは。
考え出したらキリがないことに気づき、それ以上は考えないことにした。
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練習と夕食を終え、1日が終わってしまった。なんだかあっという間に1日が過ぎていく、Aはそんな気がしていた。
その日の夜、丁度髪を乾かし終えたAの部屋に烏養がやって来た。
「……音駒戦のオーダーについてだ。一応俺なりに考えた結果、こうなった。」
ボードに名前つきの磁石が張られている。日向や月島、澤村に東峰、田中に西谷などのメンバー……そして、セッターには影山の文字があった。
「今回相談に来たのは……まあ分かってると思うがセッターについてだ。……さっき、菅原に3年だからって遠慮するな、みてーな意図の事言われてよ。
ただ、本当に迷ってる。菅原のお陰で遠慮心はねぇ。ただ、才能と信頼どっちを取るかだ。……お前はどう思う、お前ならどっちをとる。」
投げ掛けられた問いに、Aは数十秒の間をおいてから返事を返した。
「……私なら、影山を選びます。今の烏野にはあの変人速攻が必要です。それに囮である日向を際立たせてよりエースを輝かせる必要がある、それが出来るのは影山だけ。菅原さんは弱くない、立派なセッターです。けど……影山の才能はそれを遥かに越える。」
静かに話すAの顔はどこか心苦しそうに歪んでいた。
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ラー油 - すみません たしか西谷さんの回転レシーブはローリングサンダーだと思います。 (2021年4月4日 8時) (レス) id: 0628ebf5e7 (このIDを非表示/違反報告)
Sacco - 47羽目にセットアップとなってますが、セッターではないでしょうか?突然申し訳ありません。とても素敵な小説ありがとうございます。これからも応援してます。 (2016年8月8日 14時) (レス) id: f404a711c2 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - さっこさん» すいません!ありがとうございました! (2015年8月31日 21時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 朝日になっています (2015年8月31日 20時) (レス) id: 92e8049c9f (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - 人生オワタな奴さん» そうですか、よかったです!いえいえ、大丈夫ですよ!私は結構誤字が多いので、これからも見つけたらよろしくお願い致しますm(._.)m (2015年8月22日 16時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2015年8月13日 10時