初めての一目惚れ 2 【及川徹】

57 ページ13

・



岩泉さんは相変わらず鋭くて、

本当かどうかなんて聞いてくる。


本当だと言おうとした時、

松川さんが口を開いて


「ピアスの意味、調べた？」


『…調べました』


開けた日に知ったピアスの意味は、
どれだけ忘れようとしても
この先絶対に忘れられない。



「じゃあなんでそれ選んだの？」



それと言って指差すのは

私の右耳についてる及川さんの誕生石のピアスで

もう無理だと思った私は、

正直に言うことに決めた。



『…あれから2年が経って、

自分でも忘れられたって思ってました。


でも、忘れられてなかった。

忘れようとしてること自体、忘れられてなくて

結局私だけ前に進めてないんです』



あの時からずっと、ダメですよねと笑いながら

言葉を続けると岩泉さんは



「じゃあ会うか？あいつに」



その言葉に鼓動早くなっていくのを感じる。



『会えるん、ですか…？』



「けどあいつは今」


と岩泉さんが言うと


「岩泉、それ以上はもう「花巻」」


花巻さんが岩泉さんを止めようとして、

松川さんが花巻さんの名前を呼び、

首を横に振っている。


なに…？

なにを隠してるの…？


どんどん不安になっていって、

さっきまで騒がしく感じていた店内が

いまじゃ静かに思えた。



・

58→←56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す