初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:21 hit、合計:253,977 hit

7 ページ7

　

・
　
　
　
それから数日が過ぎ、
　

　
またあの子に会いたくて、

いつもより早い電車に乗っても、

会うことはなかった。
　
　
　
　

今日も会えないんだろうと思いつつ、

電車に乗った瞬間見つけたのは、

この前と同じように本を読みながら

音楽を聴いている彼女。

心の中でガッツポーズを決めながら、
　
彼女の正面の席に座り、

ただただ見つめていた。
　

　
ああ、やっぱり可愛い。

年下？それとも同い年？

そんな事を考えながら

彼女をみると心が温かくなるのがわかる。
　
　
　

それからぼーっとしていたら、

駅員の声で自分の目的地だと気づき、
　
　
　
　
遅刻したらまた岩ちゃんに怒られる！
　
　
　

そう思いながら勢いよく立ち上がり、

ホームへと急いで電車を降りた。
　
　

「あ、あの！すみません！これ！」

電車を降りて階段へと向かう途中、

後ろから聞こえた声に俺は振り返るとそこにいたのは

正面に座っていた彼女だった。

　

『え…？あ！それ！ありがとう！』

彼女の手に握られているのは
俺のシューズが入った袋で、

自分の手元を見るとないことに気付いた。

　
『本当にありがとう！』

　
　

「あ、いえいえ。
じゃあ私はこれで…あ…」

　

　
『あ』

シューズを受け取り、

彼女が電車に戻ろうとすると閉まる扉を見て、

俺たちはハモった。

　

『ご、ごめん！

俺が忘れ物したから！君、時間大丈夫？！』

「大丈夫です！

少しだけいつもより早いので！」
　

　
そう言って微笑む天使にまた心臓はうるさくなる。
　

てかこの子いまいつもより早いって言った？

え？言ったよね？いつもより…？

その瞬間、俺が早く乗ったって

会えないわけをそこで理解した。

　
・