初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ43)

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あっという間に卒業式が来て、

私は手に花束を四つ抱えて

お母さんに送って貰えばよかったな～

なんて考えながら電車を降り青葉城西へと向かう。

門をくぐれば、みんな卒業証書の筒を持って
泣いてる人、笑ってる人たくさんいる。

…本当に卒業しちゃうんだ。

周りを見渡しながら及川さんを探していると、

花ちゃんそう呼ばれて、
後ろを振りかえれば花巻さんと松川さんがいて、

久々の苗字の花ちゃん呼びに懐かしく感じる。

『ご卒業おめでとうございます』

そう言って花束を渡すと、

2人は笑顔で受け取ってくれて、
写真を撮ってもらった。

『及川さんと岩泉さんって、どこにいますか？』

聞けば花巻さん達も今から2人の元へ行くらしく、

私も連れていってもらう。

『あ、いた！及川さん！岩泉さん！』

駆け寄って2人にも花束を渡す。

「ありがとな、花」

多分岩泉さん泣いたんだろうな、

少しだけ目元が赤い。

でもそれは及川さんもみたいで、

及川さんはお礼を言いながら頭を撫でてくれる。

それからみんなで写真を撮り、

岩泉さんの気遣いで
及川さんと私の2人の写真も撮ってくれた。

『じゃあ、私これで失礼しますね。

みなさん、本当にご卒業おめでとうございます！』

そう言って帰ろうとした時、

及川さんに腕を掴まれて

「今日、一緒に帰りたいから
少しだけ待っててくれる？」

『いや、でも、皆さんとの時間を優先した方が…』

そう言っても及川さんは真剣な顔で、

「Aと帰りたい」

なんて言うから私は頷くしかできなくて、

及川さんが帰るまで少しだけ時間をつぶす。

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