初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ14)

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それから時間はすぎ、

バレーの本を見ながら電車に揺られながら過ごす。

　

『だいぶお昼も過ぎちゃったけど、
お昼いこっか』

　

「そうですね」

駅に降りて俺たちが向かう場所は小さなカフェ。

　

料理が届き

ちゃんといただきますって言うところも

美味しそうに食べるところも

可愛らしい笑顔も

彼女の一つ一つの行動にドキドキする。

　

『Aちゃんこっちのケーキ一口食べる？』

「…食べたいです」

そのままケーキをすくって
Aちゃんの口もとへやると

『はい、あーん』

一瞬びっくりしながらも、

恥ずかしそうにパクッと食べる彼女は、

誰よりも可愛い。

　

「おいしい～…！」

『ごめんね、一口が大きかったね』

口元についたクリームをぐいっと指で拭けば、

恥ずかしそうに謝るAちゃん。

「及川さんもこっち食べますか？」

　

『食べる食べる！

あーんして？』

そう言って口を開けて待っていると

「…恥ずかしいです」

と言いつつあーんをしてくれる。

好きな子を困らせたくなる心理、

今すっごい実感した…

それから俺の部活用品の調達に
付き合ってくれたり、

Aちゃんと過ごす時間はあっという間で
　
明日からまた学校だから俺たちは早めに解散をする。

「及川さん今日は本当にありがとうございました！

バレーのこともいろいろ聞けてよかったです」

『こちらこそ急に誘ったのにありがとね。

俺もすごく楽しかったよ』

「また明日！」

その言葉ににやけそうになる。

『また明日ね』

Aちゃんが背を向けて歩き出した瞬間、

頬が緩む。

どこまで彼女は俺を惚れさせるんだろうか

『…ベタ惚れじゃん』

そう呟きながら俺も自分の家へと帰った。

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