初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ12)

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それから俺たちは電車へと乗り移動する。

『なんか、新鮮だね～。

制服じゃないAちゃんと乗るの』

「確かにそうですね。

そういえばこの前これ買ったんです！」
　

そう言って彼女が鞄から出したのは、

“バレーの基礎“

と書かれた本。

　

『え？これ買ったの？』

Aちゃんはピアノをしてるから
絶対バレーはしないし、

考えられる理由は一つ。

　

「買いました！

及川さんが楽しそうにバレーの話してくださるので

もっと知りたくなっちゃって。

それに私がもっと知ってたら及川さんも
話しやすいかなって思って…」

俺のために？

『ありがとね』

「いえいえそんな…。

まだ読み始めて間もないんですけど、
及川さん出てきましたよ！

ほらここのページ。セッターって書いてます」

そのページを見ると、

セッターの説明の横に、

綺麗な字で及川さんって書かれてる。

やることが可愛すぎて、唖然していると

Aちゃんはここの解説がわからないって言って、

俺はその解説をもう少し詳しく伝える。

バレーってルールたくさんあるんですね

なんて言いながら

彼女は本にたくさんのメモを取っていく。

…今までこんな子いたっけ？

少なくとも俺の記憶の中にはいない。

　

前に付き合っていた彼女が試合に来て、

試合後に発する言葉は、

　

ルールわかんないから見ててよくわかんなかった
　

だったからこうやって熱心に勉強している
Aちゃんが愛おしくてたまらなくなる。

　

『今度さ、俺Aちゃんが弾いてるの聞きたい』

　

そう言うと彼女はさらっと

「今度うち来ますか？」

なんて言ってきた。

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