元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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いま、なんて言った…？

　


「離婚が決まっているのに

こんなこと言うなんて馬鹿げてるって

自分でも分かってます。


でも、もう１０年前みたいに頷くだけじゃ

ずっと後悔すると思うから」

　


そう言葉を続けるAに
　

付き合ってから今までずっと遠慮がちで、

あまり自分の意見を言わなかったAが

初めて僕に本音でぶつかってきたと思うと

嬉しくて自然と微笑んでしまう。



Aがこの前、

シェリーと僕の写真を見て泣いていた時


僕は、Aとこのまま夫婦として

続けていくことを悩んだ。
　


もしかしたら、

Aが不幸せになるかもしれないと

僕の我儘を押し付けることなるんじゃないか

と思ったから。

　
　
　

じゃあどうして僕はAと結婚した？


なぜ、再会を望んだ？
　


それは同じ過ち犯‘さないために、

またAの隣であの笑顔を見たいから


そう思って僕は彼女とのこの先の人生を選んだ。

　

その本音を忘れていれば、

伊地知の言葉で全て思い出す。



“ 詳しくは聞いていませんが、

どうしたら初恋は消せるのか

ただその質問をされただけです “

　

Aにとっての初恋は僕だから。
　
もちろん僕にとっての初恋もA。



付き合った日、Aが


“ 初恋は叶わないって話、嘘だね “


と笑って言ったことは今でも覚えてる。
　


彼女が無理に忘れようとしていることを知った


そうしてしまえば、

僕らはお互い楽になるかもしれない。
　
　

でもそれはとうの昔に無駄だと知っているから。


今ここにいる事実が、

１０年かけても忘れられないと証明している。
　


そして、またAを守るために手放せば、

１０年前と全く同じ後悔を僕はするだろう。


　

次、手放せば


Aの声を聞くことも

笑う顔を見ることも

隣を歩くことも


全部叶わなくなるなら僕も気持ちをぶつけて







『…僕だってAが好きだよ。

離婚だって最初からする気なかったし、

もう手放す気なんてない。


この先だって僕がずっと守る』



Aの目を見てそう伝えると

ポケットに手を入れて用意していた箱を取り出す。



結婚したのにつけてあげられなかった指輪を

Aの左手につけて



『もう結婚してから半年が経ったけど…
　
　


ずっと僕のそばにいてほしい。


絶対に傷つけないし、守り抜くから』


　
　

この半年間、


何度も飲み込んだ言葉を


口に出した。






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