元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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早く会いたくて、

Aの定時前に車を駐車場へ停めると

ハンドルに肘をついて考える。


『どうすべきかな』
　

頭の中はAの存在がバレたことでいっぱいで


それからずっと考えていると、

ヒールで歩く音が聞こえる。

　

目線を移せば、驚いた顔のAがいて

さっきまで気難しい顔をしていた僕も

ずっと会いたかったAを見れば

自然と笑顔になった。
　


車を降りると微笑みながら、


「おかえりなさい」


と言ってくれるAを

今すぐにでも抱きしめたいけど


さすがに会社でするのはダメかと諦めて、
　


今から行きたい場所があると伝え


車に乗り込むと同時にAは

ネックレスのお礼を言う。

　

彼女の首元で光るそれは、

とても綺麗でやっぱり考えていた通り
　

『似合ってる、かわいいね』
　

と今度こそは僕が１番に伝えられたはず。


　

車を走らせ、シェリーの元へと着くと

家主はシェリーたち家族を呼んでくれる。
　


「シェリー…！」
　


シェリーを見たと同時に

Aはすぐにしゃがんで手を伸ばした。

　

Aと別れてから、

シェリーは僕の家で面倒を見ていたけど

日中によくふらっといなくなり

異変に気づいたのは生まれる数週間前のこと。



毎日毎日どこ行ってんだと後をつければ

ここの家の猫と仲良さそうなのを見て


“ お前はちゃんと幸せになれよ “
　

とここの家に住まわせてもらうことになった。



シェリーが子どもを産んだことを話すと

Aはシェリーの頭を撫でながら


「…家族ができたんだね、おめでとう」


と嬉しそうだけどどこか寂しそうな顔をして伝える。


　
ずっとここにAを連れてきたいと

シェリーたち家族に会わせてあげたいと

思っていたことがついに叶って少しだけホッとした。



２人でしゃがみ込みながらシェリーを撫でるのは

付き合っていた頃と全く変わっていなくて

Aが優しい顔で撫でるのも

シェリーが気持ちよさそうなのも

なにも変わっていなくて自然と僕も笑みが溢れる。

　


最後にAがシェリーを抱きしめて


「また会いにくるね」


と言って下ろした途端、シェリーは引き止めるように

Aの足に体を擦り付ける。



シェリー自身もAと別れたこと

急に会いに来なくなったこと

全て覚えていて、

また離れ離れになることを拒んでいるようだった。








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