元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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Aの手からドライヤーと奪って

髪の毛乾かしながら

僕らは再会した頃の話をして



お互いが相手で良かったと

この半年間すごく楽しかったと話す。

　

今ここで買った指輪を渡せればいいんだろうけど

あいにく今日は急ぎすぎて持ってきていないし

ポケットにあるのは

Aへの誕生日プレゼントだけだった。


　
もうこれからもずっと一緒にいてほしいと

話そうかと思っても

頭に引っかかるのはAが最後にと言ったあの発言

　

もしかしたらAは、

もう僕とやり直すつもりも

続けるつもりもないのかもしれない。
　


ならここで伝えて関係を終わらせるより

半年までの数日を過ごした方が

お互いに気まずくもないし

幸せなのかもしれないと思ってしまう。



『あと少し、よろしくね』

　

気づけばそう言ってしまって、

鏡越しに目があったAは悲しそうに頷いて笑った

　

彼女の気持ちが全くわからない。


なぜ終わらせようとするのに悲しく笑うのか、



「…わたし先にあっち行って寝ときますね」
　


どうしてそんなに泣きそうなのかも、

全くわからなかった。
　


その意味を聞こうと手を伸ばして掴もうとしても

なぜか足は一歩も動かなくて

Aの後ろ姿を見つめることしかできず、


シャワーを浴びてベッドに行けば腰をかけ、

寝ているAの頭を撫でて
　

『今日はごめんね』


と謝る。

　

会えば１番に謝ってすぐに

“ 誕生日おめでとう “と伝えたかったのに

伝えられていない僕はベッドの近くにある

机に目線を移してメモを見つける。



明日は僕の方が早いし、

伊地知の迎えの時間を書くと

もう一枚下におめでとうと書き



いろんな店を回ってAに似合うと思った

ネックレスを箱から取り出した。



Aを起こさないように

首の後ろに手を回してネックレスと通すと

小さな宝石が首元で揺れて

　

　
『誕生日おめでとう、愛してるよ』
　
　


そう言いながらAを抱きしめ

目を閉じ、僕も眠りへと落ちる。




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