元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

68 ページ22

・




それから素早く仕事を片付けて

伊地知に伝え、都会へと出る。

　


もちろんAに服を買うためで

今の流行りを聞けば並べられる服に

Aが着てるのを想像して選びたいのに、



『…全部似合うな、伊地知どう思う？』
　


「Aさんの普段の服装はどちらかと言えば…

こちらから右側が近いかと」

　

『ならこれ右側、全部で』
　


とカードを出して包んでもらってる間に

　

「金銭感覚…」
　


とボヤく伊地知を無視して次の店へと行く。

　
　
　

それからしばらくして両手いっぱい紙袋を持ち

　

『これだけあれば困んないでしょ』


「逆にありすぎて困ると思います」


と伊地知と話しながら車へと戻る。


　

『そういえば例の件調べた？』


「現時点で五条さんが結婚されたこと、

Aさんの情報についても出回ってると

言った話はありません」


『了解、これからも継続調査して』


「ですが、時間の問題かと」


『わかってるよ、そんなこと』
　


結婚したことを知っているのは、

僕ら２人だけではない。

　

両家の関係者が知っている以上、

Aの情報が漏れるのも時間の問題だろう。


　

「五条さんは…

Aさんのどのような所に好かれてご結婚を？」
　


『なに？伊地知も恋愛話、興味ある感じ？』



「とても大切にされてるので…

もちろんいい方ですし、

私なんかにも気遣いをしてくださいますが、

五条さんにとってそれ以上に何か特別なところが

あるのかと思いまして」



『Aは昔からいい子すぎるくらいにいい子で

　

何よりも僕の隣にいようとしてくれる、

結婚する上でそれ以上に何か大切なことってある？』




「ありませんね…」



『あとどこが好きかって言われたら、全部だね』


　

伊地知に家まで送ってもらい、

両手いっぱいの紙袋を持ってドアを開ければ


すぐ笑顔のAが玄関まで駆け寄ってくる。





どこが好きか１つだけ選べと言われたら

僕は迷わずこの笑顔だと答えるだろう。
　


付き合っていた時から１番好きで、

自然とこっちも笑顔になる。



　
どれだけ嫌なことがあっても

辛いことがあっても

Aの笑顔を見ればいつも楽になる。

　

付き合う前、この笑顔を見て

Aに惹かれ、好きになった。






・

69→←67

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す