元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

65 ページ19

・

　


『あそこで僕も寝ていい？』


「は？」


『いやだってさ、いい匂いすぎて無理。

どうしてあんないい匂いなわけ？



風呂上がりほどいい匂いなんてない！』

　

と豪語する僕に七海は呆れながらため息をつく。




「ここにいる全員、同じ匂いですが。

五条さんが寝るのは狭すぎて無理があります。

自分の部屋で寝てください」



『そこをなんとかさ〜』



「そういえばいくつか質問が」

　

話逸らしたな、と思いながらも

どうぞと答えれば
　


「どうして彼女に嘘を？
　

自分と付き合っていたことは忘れられてると

仰っていましたよ」



別に嘘をついてるわけじゃない、


Aからも持ちかけられないし

自分からも持ちかけられずにいるだけ。


　

『だってさ、自分から振っといて

それを掘り返すとか最低すぎるでしょ？』



「振った側だったのは想定外です。

理由は？」



『嫌いで振ったわけじゃない、

好きだから振った』




「…好きだから振る？初めて聞く理由ですね」
　



『あの頃は好きの気持ちだけで守れるって

思ってたけど別の守り方があるって知らされた。


まあ、それも間違ってたんだけど。

　


僕がどうして若人から青春を取り上げるなんて

許されてないって言うかわかる？』
　
　


黙ったままこっちを見る七海に


　

『僕自身が取り上げられたからだよ。

僕にとってAとの思い出は青春だったからね』



「じゃあどうして結婚されたんですか。


五条家の妻になれば命が狙われる、

そんな事は分かりきっているはずです」

　


『…もう嫌なんだよ、大切な人を失うのは。
　

たった１人の親友も、自分が愛した人も

自分から手放して失うことはもうしたくない。




だから今はAを命に変えてでも

守り抜くって決めてる。



まあでも僕、最強だから

何も心配はいらないんだけどね』


　

そう言えば七海は呆れ笑うように

　

「そうですね、五条さんは最強だと思います」

　

『だけど、もし僕に何かあった時は頼むよ。

　
僕が１番信用して信頼してる後輩に

あとは託すつもり』

　

そう言えば七海は何も言わずに

じっと前だけを見つめる。




・








　

66→←64

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す