元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

64 ページ18

・
　
　


そんなことを思い出していれば


「もう夜も遅いし寝ましょうか」


とAに声をかけられ抱きしめている手を離す。



ベッドに入っても眠れるはずもなく、


話しかければ普通に返事が返ってくるし

Aも恐らく眠れないんだろう。


『緊張してる？』

と聞けば


「…してません。

私たちは半年間だけの夫婦ですし」


平気とばかりに答えるAに

少しだけイラッとした僕は仕掛けた。

　


Aに跨って顔を見れば

初めてやったときの記憶が蘇って

もうこのまま…なんて思うけど



「…悟さん？」



さすがにそれは良くないと理性が勝つ。


　


ドアが開いていることをAに伝えて、


さっき平然アピールをしていた仕返しに


『フリだけだから

それっぽい声出して』


と言えば焦り出すAに自然と笑みがこぼれる。



愛おしすぎて、

いつの間にか頬に手を伸ばして撫でると



『A、愛してるよ』



無意識に出た言葉に歯止めが効かなくなって


気づけばキスしていた。

　

服を掴んでくることも、

終われば恥ずかしそうに口に手を当てるとこも


何もかも変わってなくて
　


『A、もうちょい頑張れる？』



そう言って聞いてもふわふわなAには

聞こえてないらしい。




最後までしなきゃいいかと勝手に首に顔を埋めて

Aが声を漏らした瞬間、勢いよく閉まるドアに


流石にそろそろやめよう


とゆっくり体を起こしてリビングに行く。

　


ベランダを見れば七海が誰かと電話していて


気分転換に僕も出て七海の横に立つと、

　
　

電話を切ると何か用かと言いたげに

こっちを見ていて



『もしかして、今の彼女？』


「…どこの誰が彼女と呪霊について話すんですか。

伊地知くんです」


『こんな遅くまで大変だね〜


七海は自分の家の枕じゃなきゃ寝れない派？』


「さっきまで寝ていましたよ。

あなたが呪力を使うまでは」


『あ、バレた？』



まあ、さっきドアを開けたのも

Aの声が聞こえないように途中で閉めたのも

全部僕の仕業だったわけだけど、



『まさか人を起こすなんてね〜

けどAの声が漏れたら嫌だからさ、許して』



「リビングで生徒が寝ているのによくできますね。

教育に良くありませんよ」

　

『まあ未遂だし、あの爆睡加減だと大丈夫でしょ。


ところでさ、七海に頼みがあるんだけど』



そう言えばあからさまに嫌な顔をされる。


　


・









　

65→←63

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す