無の兵隊 second【HQ】

兵隊が４９人 ページ3

*




昼休み。

席替えで窓際になった英の席で昼ご飯を食べる。



俺は弁当派だけど二人はパン派らしく、英はよく俺の弁当のおかずを勝手にとっていく。


控えめな勇を見習って欲しい。





「……なんで最近及川さんAに絡んでくるの？」




「………唐突だね」





英がチョコのパンを頬張りながらじっと見つめてくる。



思わず美味しそう、なんて質問と全く関係ないことを考えてしまった。





「…聞いてる？A、及川さんになんかしたの？」





気に入られるような、何か





「……なんもしてないんだけどなぁ」





そう言えば、英はため息をついて立ち上がった。



そっと俺の頬に手を伸ばしてだんだん近づいてくる。





視界の端にお茶を吹き出す勇が見えた。






「あ、英…？」





「………ん。ご飯ついてたよ」





「あ、あり…がと…」





びっっっっくりした。至近距離に美形がくるとほんとにびっくりする。

てかご飯粒ついてたのか、恥ずかしいな。





「………脈ナシ、かな」




「え？」





顔をあげると、口に英が食べてたパンが突っ込まれた。





「食べたそうな顔に見えたんだけど。違う？」





「…ありがと」




まだ会って数週間なのに、俺の気持ちが分かるなんてさすが英。


あ、勇も結構俺の表情とかの変化に気付いてくれるからね。





「……及川さん、あんま近付かないようにしなよ」




向こうから近付いてくるんだけど、と言おうとして英の顔が真剣だった(怖かった)からやめた。




よく分からなかったけどとりあえず分かった、と言っておいた。

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