無の兵隊 second【HQ】

兵隊が４８人 ページ2

*





及川先輩をガン見してたことが本人にバレた次の日の朝練。




いつも通りネットを張っていると、「おはよー」と及川先輩と岩泉先輩が体育館に入ってきた。




相変わらず早いなぁと思いつつ挨拶すると、何故か輝く笑顔を添えた及川先輩に「日宮ちゃんおはよ！いつも朝早く準備偉いねぇ〜」と抱き締められた。背後から。





「えっちょっと、及川先輩？」




「照れてるの？かーわいい」





振り返ると女子が騒いでる顔面が目の前に。



「照れてるの？」なんて余裕ぶっこいてるけどそりゃ照れる。恥ずかしい。




わりと早く来てるとはいえ既に何人か部員はいる。

もちろん一緒に来た英と勇も。




勇や何人かの一年は顔を赤らめていて、先輩たちは「後輩いじめんなよー」みたいな微笑ましい空気を出していた。




英はなんか見たことない顔してた。




見かねた岩泉先輩が止めてくれたけど、俺は恥ずかしすぎて何も言えなかった。







朝練が終わり、二時間目の移動教室。





「きゃああああ！！」





二年の階を通った時、凄い歓声が響いた。




二年に騒がれるような人なんていたっけ？と思いつつ人混みを避けるように歩いていくと、「あ、日宮ちゃん！」と俺に声がかけられた。




どうやら騒がれていたのは及川先輩らしい。





「日宮ちゃんたちも移動なの？俺もなんだー」




この集団の中心が俺に話しかけてきたことにより、必然的に俺や英に視線が集まる。



英は心底嫌そうな顔をしていた。






「だれ？あれ」



「バレー部の一年生じゃない？」



「えー可愛い！」





居心地悪そうな俺たちに気が付いたのか、「じゃーまた部活でね！」と及川先輩は去っていった。




それに伴って女子たちもバラバラと散っていく。





この頃はまだ、良かったのに。

兵隊が４９人→←兵隊が４７人〜及川さんと兵隊さんの昔話〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す