8:不幸はいつも突然に 伍 ページ9
出口の扉に耳を当て、外の様子を感じ取る。
……呼吸音が二つ、近い位置からしている。
きっと、扉の両脇に監視は立っているのだろう。だったら好都合。
思いっきり扉を開き、敵の位置を捕捉した。
「おいっ!、人質が出てきやがっゴフゥッ」
即座に監視のうちの一人を背後から回し蹴りする。
其の儘唖然としているもう片方にも正面から拳を入れる。
流石は強い薬。自分でも吃驚するくらいの力が出た。多分、今なら中也君位の体術が使えるかも知れない。
「よっと…、ちょっと服を拝借するわね。あと銃も」
そっと敵の作業着を脱がせて身に付ける。
下着よりも全然行動しやすいし、きっとばれにくくなるだろう(勿論、下着で歩き回るのは抵抗があったから)。
髪の毛を帽子に上手くしまい込んで、重い銃を抱えて出口を探し始めた。
暫く歩くと、壁に『避難経路』と描かれた貼り紙を見つけた。
「えーっと、今ここは三階なのね…。
正面突破は流石に難しいから、五階にある非常階段から脱出かしら」
何度か紙を見返して地図を暗記する。
大丈夫、覚えれた。早くここから退散しよう。
私はそそくさと小走りをした。
暫く走るとT字路に着いた。右に行けば上の階へ、左へ行けば下の階へ。
私は迷わず、左へと向かった。
さっき私が地図を見ていた時、明らかにか人の気配を感じた。
だから、敢えて「非常階段へ向かう」と声に出しておけば、少しは敵を撒けるはず。
案の定、二階に降りる道には人の気配を感じなかった。
でも、之で退路は潰された。
もう、正面突破で抜け出すしかない。
きっと戦闘になるだろう、警戒して行かなくちゃ。私は銃をつかむ力を少し強くして、再び走り出した。
一直線に伸びた階段を、音を立てないよう静かに降りる。
「…にしても、人質が逃げ出すだなんてなあ。
折角警備だけで済むと思ったのによお」
「おい、無駄口叩いてないでとっとと四階まで上がるぞ」
しまった。
踊り場の向こう側から話し声が近づいてくる。
もう階段を上がる暇は無い。でも、こんな所で銃を使ったら直ぐにばれてしまう。
さっきは油断しきっていたから不意打ちで倒すことが出来た。
でも今回は、警戒してさらに正面から向かってくる。
一か八か、抵抗される前に二人とも気絶させる。
林太郎さん、私に少し力を分けてね。
私は壁に身を寄せ、息を殺して二人を待った。
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Lynn - あ、森鴎外(文スト)だ、大好きなんだ。いつか、私優しいので。って言われたいな、口癖でさ (2022年7月27日 11時) (レス) @page2 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - この夢主ちゃんのトロッとした包み込むような感じがドストライクです。 そして、森さんも…。燃えます…((そっちかよ。是非とも更新頑張ってください。今なら絶賛僕の口からイチゴオレg…(((殴蹴 失礼しました(笑)_;;ーд#_ (2019年1月6日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - さなさん» 森さんかっこいいですよね!知り合いに森さん推しが少なく寂しいです…! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - 麻鬼さん» ほんわりお母さんキャラがつくれてて良かったです!コメありがとうございます! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - アイカさん» コメありがとうございます!感動するお話が書けてよかったです…! (2018年7月24日 17時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵蔵 | 作成日時:2018年6月7日 21時