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6:不幸はいつも突然に 参 ページ7

目を覚ますと、足と腕に重くて冷たい感触を感じた。痛む体を捩じ起こして後ろを見ると、壁に取り付けられた鎖が私の手足を繋いでいた。

部屋の周りをぐるりと見廻す。
どうやら私は、薄暗くて狭い個室に閉じ込められているようだ。
冷たいコンクリートの感触を肌で直に感じた。
服も下着のままで、ここに連れてこれてしまったらしい。

暗闇に慣れた目をじっとら凝らして、部屋を観察する。
天井の隅にはスピーカーがひとつ。カメラは……多分無い?
正面には鉄の扉。多分出口はあそこからしかないだろう。
なんとか脱出方法を考えていると、スピーカーからノイズ音が聴こえて、あの時の男の声が話し始めた、


「やあ奥様。快適に過ごして居られるかい?
今、此方は君を商談材料にマフィアと交渉中だ。あと1時間もすれば、君の生死は決まってるだろうね。まあそれまで大人しくしている事だ。

嗚呼、非力な貴方ならまあ無理だろうけど、小細工を使ってその鎖を外したところで、扉の外には監視がいる。
下手な気を起こさないでいることだね」


そう言って一方的に話し続けていた声は切れた。



小細工もなにも……




こんなところ、真正面から抜け出してやるわよ。



私の異能は、自分の唾液を好きなような効果を付けることが出来る。
試したことはないけれど、若しかしたら自分にもこの異能は効くのかもしれない。



「異能力、死体に跨る女」


用意はできた。後はこれを自分の体内に入れるだけ。
首筋は無理だけど、肩なら大丈夫かしら。
思いっきり頭を捻らせて、自分の肩に噛み付いた。


「っつ……、痛ったぁー……」


思っていたよりも自分の歯は鋭くて、傷がずきずきと傷んだ。これからは、もう少し優しく噛むようにしよう。

なんて思っている間に、私の体の中は大きく変化していた。

私が自分に注入したのは、大幅な身体能力向上の薬。云わばドーピング剤。
思いっきり力を入れれば、ほら。
鎖がカシャンと音を立てて切れた。



きっと、効率を求める林太郎さんだから、ろくな準備も無しに助けには来ない。


きっとあの人は、私が帰ってくるのを待っている。



だったら、早く帰らないと。林太郎さんがあんまり心配しないよう。



私は、結んだ手にぎゅっと力を入れ、大好きな旦那様の顔を思い浮かべた。


大丈夫、きっと成功する。




さあ、脱出劇のはじまり。

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Lynn - あ、森鴎外(文スト)だ、大好きなんだ。いつか、私優しいので。って言われたいな、口癖でさ (2022年7月27日 11時) (レス) @page2 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - この夢主ちゃんのトロッとした包み込むような感じがドストライクです。 そして、森さんも…。燃えます…((そっちかよ。是非とも更新頑張ってください。今なら絶賛僕の口からイチゴオレg…(((殴蹴 失礼しました(笑)_;;ーд#_ (2019年1月6日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - さなさん» 森さんかっこいいですよね!知り合いに森さん推しが少なく寂しいです…! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - 麻鬼さん» ほんわりお母さんキャラがつくれてて良かったです!コメありがとうございます! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - アイカさん» コメありがとうございます!感動するお話が書けてよかったです…! (2018年7月24日 17時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵蔵 | 作成日時:2018年6月7日 21時

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