14:マフィアの人 ページ15
僕達がうずまきでフロートをつつきながら休憩していると、国木田さんが太宰さんにとお客さんを連れてきた。
色素の薄い肌と金髪に黒い着物。外国人のような見た目だけど、和服がよく似合っていた。
国木田さんに言われて事務所に戻る時、鏡花ちゃんがその女性をじっと見つめていた。
その肩は強ばっていて、どうやら緊張しているようだった。
「鏡花ちゃん、どうしたの?
お腹でも冷やした?」
戻って暫くしてもずっとそんな調子だったから声を掛けたけれど、鏡花ちゃんは生返事で此方の声には耳も貸していない様子だった。
何を聞いても上の空の彼女に痺れを切らしたのか、乱歩さんがゆっくり口を開いた。
「彼の人、多分マフィアの人間だよ」
部屋の中に、静かな衝撃が走る。
真逆?あんな綺麗で優しそうな人が?
疑いたい気持ちを抑えて、乱歩さんの方を見た。
「根拠は二つ。
太宰単体に用事なら携帯か何かで連絡を取るはず。それをしなかったのは、太宰の連絡先を知らなかったから。
あと、この最中は良い店の相当高いやつ。
依頼でもないのにこんな高価な物を持ってくるのは、財のある人か相当世間知らずだけだ。
そうだろ、泉」
乱歩さんに指を指され、漸く鏡花ちゃんは重々しく口を開いた。
「……彼の人は、マフィアの首領の妻。
私も彼処にいた時何度も顔を合わせた。
でも、普段殆ど外に出ない彼の人がなんで此処に…?」
思案顔をする鏡花ちゃん。
でも僕は分かった。
彼の人は太宰さんをポートマフィアに連れ戻しに来たんだ!
これまでの闘いで太宰さんは何度もマフィアと顔を合わせて来た。
其れで、やっぱり太宰さんが欲しくなったんだ、そうに違いない。
あの女の人だって、マフィアの首領の奥さんなんだ。いくら優しそうだからってそれが本性じゃ無いんだ!
だったら、早く太宰さんの所に戻らないと!
「済みません!僕太宰さんを助けてきます!」
僕は国木田さんの制止も振り払って、駆け下りるように階段を降っていた。
太宰さんをマフィアなんかに、芥川の所なんかに行かせるもんか!
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Lynn - あ、森鴎外(文スト)だ、大好きなんだ。いつか、私優しいので。って言われたいな、口癖でさ (2022年7月27日 11時) (レス) @page2 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - この夢主ちゃんのトロッとした包み込むような感じがドストライクです。 そして、森さんも…。燃えます…((そっちかよ。是非とも更新頑張ってください。今なら絶賛僕の口からイチゴオレg…(((殴蹴 失礼しました(笑)_;;ーд#_ (2019年1月6日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - さなさん» 森さんかっこいいですよね!知り合いに森さん推しが少なく寂しいです…! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - 麻鬼さん» ほんわりお母さんキャラがつくれてて良かったです!コメありがとうございます! (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - アイカさん» コメありがとうございます!感動するお話が書けてよかったです…! (2018年7月24日 17時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵蔵 | 作成日時:2018年6月7日 21時