11:心配と意地悪 ページ12
目が覚めると、私は白色の空間にいた。
ふわりとしたシーツの感触と、薬のつんとした匂いがやけに懐かしい。
首を傾けて横を見ると、寝台の隣に置かれた机の上に沢山の資料が積み重なっていて、其れとにらめっこしている林太郎さんがいた。
私が動いた音に気がついたのか、林太郎さんはこっちを振り向いて、私の顔を見つめた。
「おや、起きたのかね」
林太郎さんは疲れた表情を隠して優しく笑い、大きな手で私の頭を撫でた。
その手の温かさにもう一度瞼が落ちそうなのを必死に耐えた。
「あの…私、どのくらい眠っていたのかしら」
「そうだなあ…、丸二日位かな？」
その言葉を聞いて、思わず「えっ？」と声が出た。
任務に失敗して総出で助けてもらった挙句、二日間も何にもしないで寝続けてるなんて。
申し訳なさで思わず布団を握りしめた。
「その、御免なさい…。私、貴方にもマフィアにも沢山迷惑かけてしまって…んむっ！？」
急に体に掛かる程よい重さと温もり。
私は林太郎さんにぎゅうっと抱きしめられ、その身体に包まれていた。
「君はこうでもしないといつまで経ってもしょげてるからねえ。
其れに、『任務が終わったらぎゅってして』って言ったのはAの方だったろう？」
悪戯っぽい顔で言われるものだから、もう私は何も言えない。
私も林太郎さんと同じように腕を背中に回して抱きしめた。
「そう云えば、結局あの組織はどうなったの？」
「嗚呼、その事なんだがね」
そう言って私の手に机の上にあった資料を載せた。
事細かに書かれた其れは、部下の方が書いた報告書だった。
「あら……此処、かなり大きい所だったのね。
其れに、他の組織とも手を組もうとしていたなんて。早い段階で壊滅出来て良かったのかも知れないわ」
「そう。其れで不思議なのは、何処を調査してもAの異能力の漏れ場所が割れない事だ。
マフィアの情報網でさえも届かないという事は、マフィアを知り尽くした者が漏らしたと思うのだが…」
「マフィアを知り尽くした…ねぇ」
家族や親戚を人質に取られる可能性のある構成員は、きっとスパイなんて事はしない。
私の頭に、ふと“彼の人”が思い浮かんだ。
「林太郎さん、私、その人に思い当たる節があるのだけれど、怪我が治ったらその人のところに行ってみようと思うの」
「嗚呼、彼の所だね。きっと君なら彼も口を割ってくれるだろう」
でも、くれぐれも気を付けるんだよと、林太郎さんは念を押して云った。
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Lynn - あ、森鴎外（文スト）だ、大好きなんだ。いつか、私優しいので。って言われたいな、口癖でさ (2022年7月27日 11時) (
レス) @page2 id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - この夢主ちゃんのトロッとした包み込むような感じがドストライクです。 そして、森さんも…。燃えます…((そっちかよ。是非とも更新頑張ってください。今なら絶賛僕の口からイチゴオレg…(((殴蹴 失礼しました(笑)_;;ーд#_ (2019年1月6日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - さなさん» 森さんかっこいいですよね！知り合いに森さん推しが少なく寂しいです…！ (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - 麻鬼さん» ほんわりお母さんキャラがつくれてて良かったです！コメありがとうございます！ (2018年7月24日 18時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
絵蔵(プロフ) - アイカさん» コメありがとうございます！感動するお話が書けてよかったです…！ (2018年7月24日 17時) (レス) id: faef4af26b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵蔵 | 作成日時：2018年6月7日 21時
