ファーストラブ 【桃】

２２ ページ22

.






突然に名前を呼ばれて

パッとその人を見れば









それは

···小瀧くんだった。













「え、なんで···」




「んー、来たかったから？」







制服姿で寒そうに震えながら

ポケットに手を入れていた彼。











「てか、なんで私の学校しってるの？」







「前カラオケ行ったとき制服やったやん、

やから分かった。それに俺、隣の高校やし」









小瀧くんのそばにいる、とか言っておきながら

高校さえも知らなかった。









カラオケに行ったとき、

小瀧くんも制服だったけど

まさか隣の高校だったなんて···。












「今から帰るん？1人？」







「あ、いつもは美希と帰ってるけど

今日は委員会だから1人···」






「ふーん」





そっきから聞いてきといて興味なさそうだし

なんで私のことを待っていたのかも

よく分からない。

















「駅前の、ケーキ」










「ケーキ？」






そう言えば駅前に向かって歩き出す小瀧くん。



歩き出したと思えばすぐに立ち止まって

私の方を振り返る。







「行かへんのやったらええけど」









「···あ、行く！行きます！」





そう返事をすればまた歩き出す彼。












これは、放課後、デートですか？




いやでも私たちは別に付き合ってないし···。







でも


小瀧くんと一緒にいれたら

それでいいかなって。





「待ってよ〜！」





また彼の大きな背中に付いていく。

















あんなチャラチャラした見た目してるくせに

ケーキ食べるとか、なんか、可愛い。笑








って思ったのは、秘密。









.

２３→←２１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す