【A3!】向日葵は君に似合わない (ページ40)

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「卵買ってきてくれる？」

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スマホに映し出された1件のメール。可愛らしいスタンプと共に送られてきたのは母からのメッセージだった。そういえば今日の朝、天鵞絨駅近くのスーパーで特売があるからどうたらこうたらと話をしていた気がする。生憎眠気のせいで何も覚えていなかったが。

家に帰るまでに少し涼みたい気持ちもあったし、大人しく寄り道するとしよう。そんなことよりも夏休みの方が心配で悶々と一人で悩みながらスーパーへと足を進めた。

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無事に卵を手に入れてレジに行く前に、キラキラと派手にデコられた夏らしい看板を前に立ち尽くしていた。

『花火…』

そういえば、今日学校で真紀ちゃんが「夏休みになったら花火しよ」と言っていたなぁと思い出す。こういうのは世間が夏休みに入る前に買っておいた方がいいんだろうか、とは言っても特に花火オタクという訳でもないので何を買ったらいいのか一向に分からない。中に何が入っているのかも分からないし、何が一番楽しいのかも分からない。
私に分かるのは以前天馬くんがドラマの撮影で線香花火をやっていたことだけだ。

こんな時まで天馬くんのことばかり。色とりどりの花火セットを見つめその場に立ち尽くす。夏の暑さのせいか私の頭は既にのぼせているようだ。