5.ご対面 ページ13
それから少しの間、監督さん、もといいづみさんと咲也からたくさんのお話を聞いて楽しい時間を過ごさせていただいた。
ここは暖かい。
いづみさんに入れてもらったコーヒーが冷めないように、と口に運ぶために手に持った。
その時、玄関の戸が開く音がした。
「ただいま」
「あ、天馬くんお帰り＿＿＿って、うわー！！Aちゃん大丈夫！！？？」
＿手の力が無くなって、ティーカップが驚くほど傾いた。テーブルにダラダラと零れるコーヒーを見て咲也が大声を出している。
恐らく布巾を探しに行っているであろう咲也を横目に声を絞り出した
『な、なんで……』
「お、おいお前大丈夫か？」
心配そうにこちらを見る彼が、皇天馬くんが、目の前に映って、顔が熱くなって、それよりも状況が理解出来なくて頭がパンクしていた。
『ご、ごめんなさい私…』
「Aちゃん…？｣
『家特定したとか、後つけてきたとかじゃなくて、』
『ほ、ほんとにごめんなさい！！』
「Aちゃん！？」
椅子から勢いよく立ち上がって逃げるように寮を飛び出した。最悪だ。こんな形で彼と対面するなんて。
こぼれてしまったコーヒーも拭かずにそのまま来てしまった。それでもまだ状況が理解できなくて、訳も分からず急いで家に帰った
＿
「ポンコツ役者、あんたAに何したの？」
「なんで俺なんだよ！」
「あ、そういえばAちゃん、昔から天馬君のファンって言ってた気が…」
「このポンコツ役者を？趣味わる」
「そういえば天馬くん、あの制服って…」
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作者名：まっかちゃん | 作成日時：2022年12月27日 23時
