ほーくすちゃん[短編]

22 Nishida ページ3

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「にしてつ！にしてつ！！」
「にしてつって呼ばんといて」





にしだ てつろう
略して
にしてつ
確かに間違ってはないけど





「にしてつも真面目になったなぁ」
「前の俺知らんくせに」
「みんなが言うから」
「すぐ適当なことばっか言う」





入団してまだ数ヶ月
1番最初に話しかけてくれたのは同い年らしかったA
こいつのおかげで
すぐチームに馴染めたと言ってもいい






「今日もご飯行こうよ」
「また誰か誘うん？」
「どっちでもいいよ」
「じゃあ2人で行こうや」






この数ヶ月のあいだで
Aに惚れてるのは
紛れもない事実であって
タイミングさえあれば
いつでも…ね、






「そうだ！にしてつの新居行きたい！」
「別に…ええ、けど……」
「めっちゃダメそうじゃん」
「ダメやない！」






Aのこと襲いそうや、
理性保てるんか俺は



.

.

.






「あーあー……飲みすぎやって」
「てつろーとだからいっかなぁって、」
「今なんて？」
「てつろー……にしてつだから」
「哲朗でいいんやけど」





今哲朗って言ったよな
わざわざ言い直さなくて良いのに
本当は哲朗って呼びたいんやろ
照れてんのはAの方やない？






「哲朗って呼ばんかったらお仕置きやな」
「てっちゃん意地悪だなぁ」
「わざとやろ」
「お仕置きしないの？」
「アホ」






お仕置きに唇を奪って
酒のせいなのか照れなのか
顔を真っ赤にするのが可愛くて
チラ見すらできない






「にしてつの方がアホやん…」
「もう一回してほしいん、？」
「何回でもして、」







こいつ意外と攻めてくる
今度は頬に手を当て
ゆっくりとキスをする






「明日になったら忘れとるんやろうな」
「明日もすればええやんか」
「俺の真似すんな」
「てつが移ったぁ…」
「お前なぁ…」







てつ、って呼ぶから
ぐっと引き寄せて
少し強引にキスをする




「わざとらしい」
「しゃあないやん」
「ほら、また真似するし」
「哲朗が移ったんやって」
「なんで哲朗って呼ぶん…」





ここまで来てそれはないやろ
何回もキスする流れやったやん






「哲朗って呼べって言ったの誰やぁ」
「そうじゃないやん」
「分かってるよ、てっちゃん」






わざとらしい言い方も可愛い
あざとさと酒の勢いに負けて
思わず深いキスをした


押し倒したい気待ちを抑えて
ギュッと抱きしめるに留めた






「好きや、」

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