ヘタレストーカーと私

39 JM side ページ39

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ある日、ついうっかり鉢合わせてしまったこと

ユナさんはきっと覚えてすらいないだろう。









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ユナさんがカフェでアルバイトをしていた時。


いつもなら出てくるはずの時間になってもユナさんは出てこなかった。


もしかしてもう帰ってしまったのかと焦って探しているうちに、隠れることを忘れていた。








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『どうしたんですか？』









目の前に今探していた人が現れて、驚きと焦りで口ごもってしまった。









『もしかして道に迷ったんですか？！寒いですし中に入ってください』








僕を道に迷った人だと勘違いして、店の中に引き込んだ。







『私のおすすめでいいですか？』







そう言って、返事を聞くより先に店の奥に消えていった。








『どうぞ。熱いので気をつけてくださいね』







出されたのは湯気の立つ紅茶とシフォンケーキだった。







『この辺のことなら分かりますよ。何か探してたんでしょう？』







何も言わない僕を不思議そうにみるけど、深くは聞かなかった。




帰り際にお金を払おうとする僕を私の奢りだと言って入口まで追いやった。








『あ、待ってください』







外の天気を見るなり、事務所まで飛んでいって
持ってきた傘とマフラーを僕に押し付けた。








『いつでもいいので、ぜひまた寄ってください。お話だけでも』









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僕は知っている。

その日、雨に濡れて帰るユナさんの姿を。

次の日は風邪をひいて学校を休んだことも。









僕はまだ傘とマフラーを返せていない。



返しに行ってまた会ったら、この気持ちが確信に変わりそうで…









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『…まだ起きてたの』









僕にくっつき直して、また寝息をたてるあなたを

僕は好きになるつもりなんてなかった。




好きになってはいけない人なのに…









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