9羽 ページ10
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その後、必死に弁明し、体育館に入ろうとする日向と影山。口々に聞こえてきた声が、影山のひとつのものに変わる。
「主将すみませんでした!日向ともちゃんと協力します!!部活に参加させてください!!」
そんな影山の言葉が終わると、澤村は体育館の扉を少し開いて、顔だけをのぞかせた。「本音は?」と聞けば、影山の顔が徐々に不本意そうな顔つきに変わる。
「……試合で今の日向と協力するぐらいなら、レシーブもトスもスパイクも全部俺一人で出来ればいいのにって思います。」
あまりに素直すぎるその言葉に、館内で聞いていたAは思わず吹き出す。日向の声で「バカッ、何言ってんのオマエェ!?」という慌てた声も聞こえてきた。
「はっはっは!何で本当に言っちゃうんだよ本音を!」
先ほどまでと雰囲気を一変させて、影山の返答に澤村は笑う。「いいと思うよ、そういうの!」と続け、ひとしきり笑うと雰囲気を落ち着かせた。
「でもさ。」
―ボールをおとしてもダメ、持ってもダメ、1人が続けて2度さわるのもダメっていうバレーボールでどうやってひとりで戦うの?―
澤村のもっともな言葉に影山は言葉をつまらせた。そして何もいえないままに、そっと扉が閉められる。2人はまた閉め出された。
Aはひといきついた澤村のもとにかけより、「あの、澤村さん。私は……。」と声をかければ澤村は柔らかく笑った。
「ん?あぁ、白石はいいよ、なにもしてないし。もうちょっとでうちのマネージャー来ると思うから入部届けはちょっと待ってくれ。」
「そうそう!白石……じゃなかったAちゃんはなーんにもやってない!」
「それより、白鳥沢のこと聞かせてよ。なんでうちに来たのかとかも気になるしな!」
田中と灰色の髪の男こと菅原の言葉に、Aは少し表情を緩める。ありがとうございますとそっと告げてから、烏野に来た理由に困ったような顔を見せた。
「こっちに来たのは……えーっと、深い意味はないです。」
「でも勿体無いだろ、明らかに。中高一貫でエリートが行けるような高校なのによぉ。向こうには牛若だっている。それに宮城にはもっと色んな高校あるし……。なんで烏野なんだ?」
「……だって楽しいじゃないですか。物凄く強いとこより、伸びしろがあるところの方が。」
それだけは確かに思っていたこと。Aは今までよりずっと楽しそうに言った。その表情に、3人は顔を見合わせると歯を見せて笑い合った。
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刹那(プロフ) - 疑問なのですが5羽の端麗ナ容姿は誤字では無いですか? (2020年5月15日 15時) (レス) id: 9ed63526ef (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 由華理さん» 本当ですか!ありがとうございます!!ご期待に添えられるように頑張ります! あっ、ほんとですね…(゜Д゜) み、見なかったことに((( すみません!今から直したら全話直さないといけないので、目をつぶってください…! (2016年9月30日 19時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
由華理 - 質問なのですが、17羽が二つあるのはなぜてすか? (2016年9月29日 21時) (レス) id: 06d67bc150 (このIDを非表示/違反報告)
由華理 - いつも作品見ています!これからも更新頑張ってください! (2016年9月29日 21時) (レス) id: 06d67bc150 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 七瀬 蒼さん» ご指摘ありがとうございます!直してきます:(゜ω゜): 面白いですか!?よかったです・・・!応援ありがとうございます!ご期待に沿えるよう頑張ります! (元 花宮幸ヤです!) (2016年8月13日 15時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2015年5月9日 16時