B型男子にはご用心 snm

青春の煌めき ページ17

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俺の恩人は間違いなく橘A

Aちゃんは俺を見つけてくれた人

服を作ることが好きで、安い古着を買ってリメイク
するのが好きだった

だから、服飾の専門学校へ進んだ

けどここには、途轍もない才能の持ち主が
うじゃうじゃいて、校内コンクールでも、全く光る
ものがなくて一気に自信を無くした


とはいえ腐ってばかりもいられないから真面目に
服作りの基礎は覚えたけど


ダラダラと授業を終えてバイトに行こうと校内を
出たら同い年くらいの女の子に声をかけられた

ナンパか？

「あの、ここの学生さんですよね？」

「そうですけど」

「あの、不躾ですが、いまお召しになってる服は
あなたの？オリジナル？」

「え？オリジナルって言うのかな、古着のリメイク
ですけど」


この子は古着に興味があるのかな？

「リメイク…あの、生地から洋服を作ることはできますか？」

「まぁ、一応作れるけど…てかなに？あんた」

質問の意味が分からなくてちょっと強めに言っちゃった

「あ、わ、私怪しいものじゃないんです
これから、アパレルブランドの立ち上げを考えていて
それで、その、デザイナーを探してるんです」

「は？デザイナー？」

「あなたが着てるお洋服が素敵だったので
お話を聞きたくて…すいません
私、橘Aって言います」

「平野紫耀です」さらっと自己紹介してしまった

「平野さん、お話を聞いてもらえませんか？」

そんな逆ナンみたいな出会いだった

Aが連れて来てくれた事務所はボロいアパートの
一階
来年には取り壊しが決まってるらしい

「このアパート来年には取り壊されるの
だから、それまでに絶対FtB.を軌道にのせるって
決めてるの」当たり前みたいにそう言い放つ橘さんは
めちゃくちゃカッコよかった


FtB.の現状を聞くと正直成功する確率より
失敗する確率の方がはるかに高いと思った

だけど、途方もなく面白いことがここなら出来る
学校では習えない経験を得れるって本能的に感じて
この話にのることにした

いま思えば20代前半だったから後先考えず突っ走れ
たんだろう

あの頃を思い出すと、キラキラ眩しい思い出に
俺でさえ目も眩みそうなほどだ

そのくらい熱くて、眩しい時間を過ごしていたんだ

翔太は俺の服を着てくれるモデルで
それを撮るのが康二

みんな同世代で、どこか学生ノリの勢いといい加減さ
と同じような熱量を放っていた

二度と出来ない経験をAは俺たちにさせてくれたんだ

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