目黒くんの回想 ページ29
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疲れて帰ってきたら、キッチンに見慣れない鍋とおにぎりと添えられた手紙
綺麗な字で書かれたAからのもの
俺を案じてこれを持ってきてくれたんだ
シャワーをして寝たい所だけど、今日は湯船に浸かろう
湯張りの合間に温める
さっきまで食欲も感じ無かったのに、湯気を嗅いだら
食欲を感じた
小さく握られたおにぎり
「ちっさ…」
自分でつくる時の大きさと比べると小さなおにぎり
「そっか、手の大きさ違うから…」
小さい理由がわかって心がほっこりした
温めた野菜スープはシンプルだけど野菜が柔らかくて甘い
塩気もちょうどいい
「うまっ」
5個置いてあったおにぎりはあっという間に平らげてしまった
手紙にももう一度目を通す
卒論完成したんだ…
忙しいのに、よく勉強の時間作ったよな…
勉強と仕事の両立の難しさは分かる
ラウも、Aも本当によくやってる
俺の大学時代とは勉強の質も量も桁違いだ
Aは櫻井さんなんて私の比べものにならない位の仕事量こなしながら現役で卒業してるんやもん
私に出来ひんことない
自分に言い聞かせるみたいに毎回そう言うんだ
目の前に頑張ってる奴がいる、そう思ったら俺も頑張れる
この前、Aを抱きしめた時
あぁ、もう感情抑えるの無理かもなって思った
Aはずっと気になる子だった
事務所に唯一いる女の子
どんな子なのかな？やっぱりミーハーなのかな？とか思ってた
こっちで活動することになって先輩グループに加入して
益々興味は湧いた
合同で練習してAのダンスをみたとき
釘付けになって一曲踊り終わるのをずっとみていた
ジャニーズの中でもスノーマンのダンスパフォのレベルはレベチと認められるダンスグループ
アクロも激しい
その中で遜色なく、自分の色を残しつつ表現するAのダンスに一瞬たりとも目を離せなかった
Aに話しかけたいと思った
だけどいつもスノーマンの誰かといて気軽に声かける勇気は無かった
ある時外の空気を吸いたくて行く階段
そこから出てくるAを見かけた
それから俺は非常階段に向かう頻度が高くなった
話すうちに好きだなって思った
でも気持ちを伝えるにはあまりにも自分に自信がなかった
Aは既に名前も売れる国民的女優だったから
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作者名：ピカンチ★
| 作成日時：2023年3月24日 8時
