君彼 ページ26
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「ごめん…おやすみ」と離れた体
思わず、彼の腕を取ってしまった
「…あ、お、お腹空いてない？」
「え？」
今し方お腹いっぱいご飯食べてきた所だった
「や、うん…あ、ごめん…おやすみ」
「温かいお茶飲ませてくれる？」
なんか察してそう言ってくれた
「うん」
部屋に通してソファーに座る目黒くん
やっぱり疲れてるみたい
蜂蜜漬けの個包装の梅干しこの前注文しておいたの
お茶と梅干しを出してソファーに並んで座る
テーブルには資料やパソコンが出しっ放しで
「散らかってて、ごめん」
「いいよ、これ学校の？」
「そうなの、ちょっとね仕事で教えて貰ったことがあって卒業制作的に作ってる途中なの」
「仕事って？」
「あ…卒論の為にインターンしてるの」
「え？マジ？」
「うん」
「事務所は大丈夫なの？」
「もちろん、了承済みだよ」
「えー、凄いな」
「初めてバイト代もらったよ」
「会社の人Aって知らないの？」
「流石に知ってます」
「そっか…それ、見れるの？」
「まだ全然途中だよ？」
「見せて？」
「あれ？これあべちゃん？」
「そう、この前二人でロケしてきた」
「ええ、それデートって出かけた日？」
「そそ、あの日」
「うわ、ここ綺麗」
まだほんの少ししか出来てないけど作った映像をみてくれた
「こういうの、興味あるの？」
「まぁ、映像学科だしね、フィルムは結構好き」
「これ一人で作ってるの？」
「あべちゃんにも康ちゃんにも手伝ってもらってて、友達にも手伝って貰ってる」
「へぇ、完成したら見せてくれる？」
「もちろん」
気づけばもうすぐ深夜2時…
「ごめんね、引き留めて、朝早いんだよね？」
「2時だね…まるで歌詞の通りだな」
「あ、れは女の子が帰るんだよ」
「2時に帰す男の気持ち俺わかんない」
「ん、それは同感…まず2時まで好きでも無い人の部屋に行かへんよ」
そう言って後悔した
まるで好きって言ってるみたいやん
「君の彼氏になりたいって言ったらAはどうする？」
日増しに目黒くんに対しての気持ちが他のメンバーよりも近いものになってる自覚はある
でも恋愛となると話は変わる
私たちは仕事のパートナーなんだから、恋愛感情を挟む訳にはいかない
答えられずにいると
頭にポンと手を乗せて
「今日はもう帰るね、おやすみ」
玄関でちゃんと鍵してねって言って帰った
残った感情は彼の温もりが消えて、さみしい…だった
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作者名：おさと
| 作成日時：2023年3月24日 8時
