アンバランスラブ -ymin-

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トクリ


心の奥、何かが動き出す。



「すみません、困らせてしまって。やっぱり眠いので先に寝ていますね」


「……慧くんの過去の話は聞きたいって言ったら、聞かせてくれるの？」



慧くんをもっと知りたいと思った。



「『命令だ、過去を洗いざらい話せ！』とは言わないんですか？」

「そういうもんじゃないかなって」

「お優しいんですね。
涼介様とはこれからも一緒に過ごせる時間が十分にありますので、今日はおしまいにしません？
明日、学校もあるんでしょう？」



どちらが主人か分からないような落ち着いた物言い。

この人は見た目に反して
中身は遥かに大人なのだと、本能的にそう思った。



そういえば、俺はこの人の年齢さえ知らない。



でも今日全てを知ろうと焦る必要はないみたいだ。



「うん。お風呂入ってくるわ」

「いってらっしゃい」



もうこの人の魅力に片足を突っ込んでいるのかもしれない。



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シャワーを浴び直して部屋に戻れば、本当にすやすやと気持ち良さそうに眠っている慧くんに思わず笑みがこぼれた。



「やっぱり赤ちゃんかも」



いつの間にか邪な気持ちも忘れてしまうような、幼さの残る寝顔。


蹴り飛ばしていた掛け布団をかけ直して、空いているベッドの横に潜り込んだ。


こちらに背を向けて眠る慧くんに、後ろから抱きしめるように手を回す。

男2人で同じベッドだと狭いから、なんて誰が聞いてるわけでもない言い訳を並べて目を閉じた。





なにもかも、まだ始まったばかり。





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