[ヒロアカ]二重人格の雄英生 (ページ5)

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４　相澤Side ページ5

「スタート」

その合図と同時に、流速を纏うオーラがガラリと変わった
そう思った瞬間には流速は既にゴール地点にいた

タイムは一秒を切っていた
流速の個性を考えれば、そのタイムは妥当な所なのだろう

流速を纏うオーラ、それはーー

殺伐としており、全てを拒絶するそのオーラ

他の生徒は気づいていないようだが、明らかにオーラが変わっている

にも関わらず本人は何事もなかったかのように次の種目場所へと向かう

その姿を見て我に返った俺は、行動を開始した

その後、緑谷が爆豪の記録を抜かし、爆豪が緑谷に突っ込んでいった時もちらりと視線を向けただけで、すぐに顔をそらした

まるで、興味も感心もないと言うように

入試の時の姿と重なる

あの時も、異様なオーラを放っていた
誰にも見向きせず敵ロボットを倒していたかと思えば、思い出したかのように怪我して動けない奴らを助ける
それも、自分の怪我や状況をまるで無視して、だ

その行動に俺含め教員陣は流速のことを危ういと感じた

いつ闇に堕ちるかわからないような目をしていたから

流速の個性は使い方によっては敵に回すと一番厄介な相手にもなりうる
そうするわけにはいかなかった

流速には本来備わっている生存本能がまるでない

闇に堕ちるのを防ぎ、生死の概念を叩き込む

それが本来定員人数が四十人のヒーロー科に今年だけ特例で四十一人になった理由だ

だから教室で流速を見た時は驚いた
最初見た時と真逆の目をしていたから

入試の時見た目は見間違えだったと思いたいがそれを見る限り、そういうわけにもいかないようだ。

結局、流速のオーラはテストが終わった瞬間戻った
もしかしたら個性の影響かもしれない

だがあの感じは昔保護した…二重人格者のようだったな

そこまで考えて、背筋が凍る
誰に見られている気がして見渡すと、流速がこちらを見ていた
殺気とは違うが、その深淵のような黒い瞳は、一切の光を受け付けていなかった

まるでこれ以上踏み込むな、とでもいうように

ったく
厄介な生徒を持ったな

緑谷といい、流速といい、今年は波乱の年になる予感がするな

流速霊華ーー多少は手がかかると覚悟はしていたが、これは思った以上なことになりそうだ

取り敢えず、しばらくは要監視だな

職員会議ではこちらから踏み込むことはせず、注意して見るという結論になった

それはつまり直接流速に聞くことは出来ないということ

本当に、合理的じゃないな