Pull your wings and make it mine (ページ6)

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朝。
アラームがリンリンと鳴り響くのを止めながら重い体を起こす。
ベランダの朝日が眩しい。
そう思いながら、顔を洗い、スーツに着替える。
そのあいだに沸かしておいたお湯をコーヒーカップに入れて、コーヒーが作れるまで携帯を弄る。

いつものお気に入りのマグカップは、いつか彼とお揃いで買ったクマの柄のもの。薄茶色のそれは、とっても可愛い。
それを今でも使っていて、他にも私は彼と買ったものや彼に貰ったものを捨てられずにいる。

そのマグカップに出来上がったコーヒーを注ぎ、砂糖やクリームを沢山入れる。
甘いと感じるまで入れて、少し冷ましながら飲む。
とても美味しいそのコーヒーを入れるのは、私の日課になりつつある。

歯を磨き、もう一度鏡を見て、家を出る。
集合時間の一時間前を目安に向かっているが、丁度その頃は通勤ラッシュで人がとても多い。
人混みに少し酔いながら、私はフジテレビに着いた。

暫く道に迷いながらキンキの楽屋を探していると、
誰かから肩をトンと叩かれた。
後ろを少し見ると、光一さんが無表情でこちらを見ていた。

「……おはようございます。」

取り敢えず頭を下げ挨拶をすると、光一さんも少し頭を下げる。

「……迷ってんの？」

光一さんはぶっきらぼうにそう言うと、ついて来いと言わんばかりにズカズカと先に進んだ。
少し後ろにいて歩きながら、思っていたよりも光一さんはひょっとしたらいい人なのではないかと感じた。
やがて楽屋について「ありがとうございます。」とお礼を言ったら、光一さんは少し照れくさそうに笑い、そのまま何も言わずソファーに座ってしまった。