Pull your wings and make it mine (ページ2)

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地図に沿って歩いた先にあったのは、
テレビの中でしか見た事がなかったフジテレビ。
実物で見るとすごく大きくて、ちょっと感動する。

フジテレビの中に入ると、
帽子を被っている男性の方がこちらに向かって手を振っている。
スーツをバシッと決めていて、ハットもスーツにあった黒色。そんな男の人に近づいた。

近くによると、ライムミントのようなすごくいい匂いがする。
でも、この匂い嗅いだことがある。

私の頭の中に浮かんだのは、〝あの人。〟

繰り返し浮かぶのは、恐怖の記憶。
「安心しぃ。もう俺が守ったる。」
そう言って、周りの人を傷つけるあの人。

私が怖がると、異常に怯えた目をして私を傷つけたあの人。
矛盾ばかりのあの人から、私は逃げ出した。

「こっちやで。おいで。」

この関西弁、この声。
のほほんとした雰囲気。

……全てが似ていた。彼に。

「……やっと会えた。」

その一言に凍りつく。
少しだけ顔を見上げると、とても悲しそうに彼は微笑んだ。
顔までそっくりの彼は、きっと私の記憶にこべりついたあの人と同一人物だった。