笑って冴ちゃん (ページ10)

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ランチページ10

「Aメシ食いに行くぞ」

『〇ック行こーよ!!フライドポテト食べたい』

すると冴ちゃんはテーブルに置いてあった小説を取って私の頭にポスっと効果音がつくくらいの力で乗せた。

「体に悪ぃからやめろ」

『一回食べたくらいで悪くなったりしないし冴ちゃんが食べなきゃいいだけじゃないの？』

そう言うと機嫌悪そうに顔をしかめるものだから、どんだけポテト嫌いなんだよコイツと小さく愚痴を零すと弱めにしばかれた。

『DV』

「うるせぇ、いいからさっさと行くぞ」

『はいはい』

日本に帰国した日に買った傷一つついていない新品のブーツを履いて先に出ていった彼を追いかける。

『冴ちゃん速い!!』

「Aが遅い、ちんたらすんな」

相変わらずお口の悪いこと。おじさん、おばさん、一体どんな育て方をしたんですか。

「俺お蕎麦食べたい」

『うん……うん？何その目…まさかAに奢れって言いたいの??』

「ダメ？」

『ダメに決まってんだろぅが』

冴ちゃんの方がバンバンお金稼いでるくせに、なぜ自分が奢らなければならんのだ。

ダメと言われた当の本人はスマホの画面をこちらに向けて何かを訴えている。

なんだなんだと画面に映し出されたものを見るとそこには"新鮮なエビを使った天そばに店自慢のお茶漬けを付けた昼食セット!!"と書かれていて、その右下には小さく"安心の税込価格550円!!"と表示されている。

『お金に困ってるわけじゃないんだけど…』

「お願い」

『冴ちゃん絶対お蕎麦じゃなくてお茶漬け食べたいだけだよね??』

「お蕎麦も食べたい」

やめろ。

そんなキラキラした眼差しを向けてくるんじゃない。

お前は安定の冷徹イケメンキャラじゃないのか。

ダメだダメ。

急に可愛こぶったってそんなの……

「A……」

『はい喜んで!!』

自分は可愛いに弱い。

Aのバカヤロウ……｡