ＦＩＲＥＯＮＦＩＲＥ【２】 (ページ17)

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＜ＪＫside＞

　ＭＯＯＮのコリアンハッスルライフが始まってから早くも3週間が過ぎ、僕らは徐々に余裕ができて、ヒョンたちも僕も、曲作りやダンスの練習にこれまで以上に力を入れ始めている。

　かたや、Aは相変わらず練習の鬼で、毎日ほとんどの時間を事務所の練習室か作業部屋で過ごしている。曲を書いたり、歌の練習をしたりする合間に韓国語の勉強(パンＰＤから宿題が出ているらしい)もしているようで、Aの韓国語は初めてあったころと比べて飛躍的に伸びている一方だが、僕らにとっては常に、心配の種でしかない。

　ちゃんと体を気遣ってるか。三食きちんと食べてるか。睡眠はとれてるか．．．。

　挙げ始めればきりがないほど浮かび上がる心配事の数々。ジミニヒョンが失恋したとき、こんな感じだったっけ．．．。

　過去の苦い経験のおかげか、メンバーは異常なほどAを可愛がる。コーヒー片手に作業部屋を覗きに行っては一緒におやつしたり、練習室に様子を見に行っては一緒にお昼食べないかと誘ったり。ナムジュニヒョンなんか息抜きにと美術館デートに誘ったりして．．．。正直、ちょっぴり羨ましい。

　あとで、A探しにいこっと。

　今日は木曜日のため授業はないが、次の授業の打ち合わせのため事務所に来た。エレベーターに乗りドアを閉めようとすると、背の低い女の人が駆け込んできた。「すみません！！」と聞きなれた声に、口角があがる。

ＪＫ「おはよ。」

A「おはようございます！」

ＪＫ「何階？」

A「あ、同じです。」

ＪＫ「じゃあ、今日は作業部屋？」

A「はい。新曲のいいアイデアが浮かんだので。」

ＪＫ「何時までいる？」

A「ん～、少なくとも午前中はずっと部屋にいると思いま．．．」

　ガタンッ！！！

　Aの言葉を遮った音と同時に、上昇していたエレベーターが急停止し、電気も消えた。止まった衝撃で勢いよく後ろの手すりにぶつかった腰が痛い。

ＪＫ「A、大丈夫？」

　．．．返事がない。

ＪＫ「A？」

　暗闇の中、手さぐりに、慎重にその実体を探す。軽くパニックだ。急にエレベーターは止るは、停電はする。そのうえ、Aが呼んでも返事しない。いつもは「はい！」って元気な声で答えるのに。

　怖いのかな？何でもいいから答えてくれないかな？

　．．．っ！見つけた！

　触れたその体は嫌に冷たく、震えていた。