ＦＩＲＥＯＮＦＩＲＥ【２】 (ページ13)

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＜Aside＞

　汗だくで朝起きて、お水が飲みたくて、台所に行ったらいい匂いがして、みすずさんかと思って「おはようございます」って声かけたら、目の前にはジンヒョンがいて．．．。

　って、どんな夢だよ！！！！！！心臓に悪いよ！早く起きないと！！

　頬を一発パシンッと引っぱたくと、ひりひりとした痛みがじぃんわり広がっていく。

　えぇ．．．嘘じゃないのぉ？真面目に、内心泣きそうだ。奇跡の完璧すぎるシチュエーションに戸惑いを隠せない。というか、隠せる人いたら逆にすごくない？

　ジンヒョンは、やっぱり大人だ。余裕がある。大混乱中で取り乱しまくりな私を見て苦笑しながらも、おかゆをよそってくれる。

ＪＮ「ご飯食べたらすぐしたくして。」

A「？．．．どうしたんですか？」

ＪＮ「Aと遊びに行くから！」

A「へぇ？！どこに？」

ＪＮ「いいから。ほら、はやく食べて！」

　いわれるがままおかゆを口に突っ込むと、ふわっとあったかいお米の香りが口いっぱいに広がった。味はなんてことない韓国風おかゆなのに、なぜだろう。あったかい。心までポカポカする味。あのときも、引っ越しパーティーのときも、ヒョンのご飯はあったかくで好きだった。

ＪＮ「A、どうしたの？なんか、嫌な夢でも見た？」

A「へ？何でですか？」

ＪＮ「だって、泣いてるから。」

　大人なヒョンがおろおろしてるのが可愛い。．．．なんて、ひょっとして私、Ｓ？でも、この可愛いはそういうサディスティックなやつじゃない。相手の真心に感動してる時に、ふっと湧き出る「ありがとう」に近い。

A「ヒョンのおかゆがおいしすぎるんです。さ、私は食べてしたくしますから、ヒョンは車出しといてください。」

　ニヒッっと笑って返せば、ヒョンはホッとしたような、でもどこか心配そうな苦い笑顔で「うん。」と短く答えた。

A「お待たせしました！！」

　おかゆを猛スピードで飲みこみ、シャワーを浴び、超特急(さんざん悩んだが．．．)で着替えて、玄関口で待っていたヒョンの車にかけこむ。

ＪＮ「さ、のって。」

　嘘でしょ。車のドア開けてくれて、閉めてくれるよ。さらには今、隣で運転してるよ。ドラマかよ！

A「夢みたい。」

ＪＮ「またあ～！もうっ！夢じゃないって何回言えば気が済むの？」

　ヒョンが苦笑しながら連れてきてくれたのは．．．バンタンの宿舎だった。