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<THside>
結局、MOONの講師を引き受けることに決まった。
PDとの会議から1週間後、A本人からも移籍の申し出があり、その1か月後、MOONはBig Hit Entertamentに電撃移籍を表明。またしても、世界中を混乱の渦に巻き込んだのだった。
MOONの移籍会見後、僕らは再び韓国の本社でPDと会議をした。
PDからは、3科目を僕ら7人で分担して教えて欲しいといわれ、そのうち二つはラップとダンスにしてほしいと頼まれた。もう一つの科目は、僕らが自由に決めて良いそうだ。
ラップと聞いて別に驚きもしなかったのは、この間、アメリカでPDが聞かせてくれたデモテープのおかげだ。
PD曰く、あの曲はMOONがデビュー前に日本のBig Hit本社に売り込んだ曲らしく、その頃の彼女はアングララッパーとしてそれなりに名を馳せていたらしい。
教えるとしたら、やっぱナムジュニヒョンとシュガヒョンだろうな...
ダンスも、BTSの代名詞として、教えるにふさわしい科目だと納得できた。
これはやっぱホビヒョンとジミナしかいないっしょ...
となると、残りは僕とジニヒョン、あとはジョングガかぁ...
このメンツであともう一つ、何か考えろって言われてもピンとくるものは一つも思いつかない。
黄金マンネはともかく、僕とジニヒョンは正直言ってビジュアル以外にこれといったとりえもなく、強いて言えば...いや、ほんとに何にもない。
TH 「はぁ...」
深くため息をついて布団に沈み込むと、携帯のカメラロールを眺める。
手が止まったのは、この間のジミナの写真。
普段はすぐツイッターにアップしたりするけど、これだけはさすがに無理だった。勘のいい奴らはすぐ気づくはず。あの頃のジミナをほうふつとさせるその表情。
一体誰が、お前をこんな顔にさせたんだよ?
ジミナにはここ1か月、色々匂わせて聞いてみてるのに、あいつは毎度毎度それに気づいてするりと逃げていく。
なんなんだよ。ちょっとは頼れよな。
なんて言いながら本当の事を言い出せないあいつにさせてるのもまた、きっと俺が聞きすぎてしまったからで...。
ああ、ほんと、情けないよな。
時計を見れば、もう午前0時を過ぎていて、それを見た瞬間、眠気が襲ってきた。
寝るか。
布団にもぐりながら明日を思う。
明日は、Aの歓迎パーティー。
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作者名:NONOMO | 作者ホームページ:http://waste1ton3
作成日時:2020年6月1日 2時