幻覚 ページ24
時が。
止まった。
だが、それもほんの少しの間だけだ。
「有り得ない。」
間髪入れずに否定した。
だって、自分の目で見たのだ。
『もう一人の自分』が人間を楽しそうなに殺すのを。
赤と黒にまみれ生気を失い死んでいった人達を。
自分の手が血と贓物と骨太で薄汚れているのを。
「新参者はさぁ。」
どこか呆れたような声があった。
「もしかしたら、生前？人を殺したことを死ぬ程後悔して、大切な人から逃げるようにここに来たんだとしたらさぁ。」
そして。
そして。
そして、
言葉の爆弾が投げ込まれた。
「それって、ポップな幻覚なんじゃねぇの？だって、人間には乗り越えられねぇトラウマなんて色々あんし。」
「信じたいだけだ。」
「かもしれない的な。」
これまた即座に返された。
「だけど今この瞬間に私達を殺してないだろう？それが証明なんだよ。お前さんは、ここに来てからまだ誰も殺していない善人野郎だということに変わりは無いだろう的な？」
言葉を失った。
この世界は、死んで不幸から解き放たれる事すら許さない真っ黒であれほどの悲劇が、日向の世界でも仕方ないよの一言ですまされる酷いひどい世界なのに。
どうして、明るく見えるんだろう？
こんなにも、真っ黒な一筋の光でさえ奪い嘲笑う世界だというのに。
(だけど、例え今この瞬間に殺していなかったとしてもそれは、逃げているだけだ。罪を償ったことにはならない。)
「恩返しをしたい。」
こんな話がある。
一時間の説教をうけても何一つ反省しなかった人間は、たった三分の歌を聞いただけで涙を流したという。
それは、リズムや音の流れによってより人間に響きやすくなるからだ。
それと同じ。
方法が違っても、傷をより抉ったとしても。
錆び付いた彼女の心臓に、今一つの希望を与えたのについこの間まで接点の無かった雷や鈴なのだ。
悩める皆の相談相手として、会ったことも無い人物に占って貰うのと同じように。
かの妖怪には、確かに響いたのだ。
だから、
「私は、貴方達に恩返しをしたい。例え無自覚であっても私が救われたという事実はかわらないから！！」
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ミカみかん - C.(´･ω･`)、ありがとうございます！やっぱりあけた良いんですね…以後改善します！ (2019年7月30日 9時) (
レス) id: ffa316ce3a (このIDを非表示/違反報告)
C.(´・ω・`) - 面白かったです!只、行を少し開けた方が読みやすいかな?と思います。次の話も、楽しみにしています! (2019年7月28日 14時) (レス) id: f0bf6b6a91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカみかん | 作成日時：2019年7月24日 14時
