二度目の人生に慈悲を弐 (ページ19)

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六十七日目ページ19

ド「・・・誰だよ、あんた。」
「・・・」

お見舞いに来て第一声がこれである。気づかれてない。

「慈っす。」
ド「・・・はっ？！！おまっ、A？？！」
「はい。」
「マジかよ。違和感しかねぇ・・・。」

エマちゃんがカラオケであんな暴走をする理由がわかるような気がする。ドラケンくんって鈍いうえにデリカシーがない。それなのに、エマちゃん曰く「ちょっとしたウチの話も覚えていてくれる」のだそうだ。
罪な男だな・・・。

「それってつまり似合ってないと言いたいのでしょうか〜？」
ド「いや違えって。女の恰好してるお前は初だしよぉ。」
「じゃ、いっか。」
ド「お前、だいぶ遠慮がなくなったな。」
「遠慮があった方がいいっすか？」
ド「・・・いや、それでいいわ。恩人だしな。」

つぅ訳でこれ、と渡されたものを見ると、

「特攻服？」
ド「マイキーからお前に渡せって。」

東卍を立ち上げたときに万次郎君が着ていたものだそうだ。

ド「東卍にとって命みてぇな代物だ。」
(滅茶苦茶、大切なものじゃん・・・。そんなお宝をなんで私に？)

ド「『着るか着ないかはお前次第。でも、お前に持っていて欲しい』ってよ。」

万次郎君が、そんなことを・・・。

ド「A。お前は東卍の恩人だ。皆が認めてる。俺もその一人だ。」
ド「俺からも改めて礼を言う。」

―――ありがとう

頭を深々と下げるドラケンくん。

「・・・何かあったら、また言ってくださいね。」

見た目は君より年下だけど、中身は２６歳だし。何かあったら、やっぱり頼ってほしい。
どれだけ喧嘩が強くて、大人びていたって、ドラケンくんはまだ中学生のガキだから・・・。

ド「あぁ。頼むわ。」

自分で言っといてなんだが大変だ。ドラケンくんが私を頼るって言ったぞ！！「お前に何ができんの？」と言ってたドラケンくんが・・・！！

ド「まぁ、んなこと起きねえだろうけど。」
「ドラケンくん？！」

やっぱ馬鹿にされてた。

(にしても万次郎くんの特攻服かぁ・・・。)

83抗争の時に見た東卍の人たちが着ていた特攻服よりはだいぶ小さいけど、きっと色んな思いが詰まっている。

そっと小さな特攻服を撫でた。

「いつかこれが似合うような人に、なれますかね？」
ド「・・・A。マイキーに会って行けよ。多分、屋上で昼寝でもしてっから。」