二度目の人生に慈悲を弐 (ページ18)

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六十六日目ページ18

８月１０日

８月３日の大抗争の後。噂は噂を呼び、私は一躍「時の人」となった。

『なぁ、知ってるか？慈先輩は83抗争を鎮めただけじゃなくて、マイキーくんとドラケンくんの喧嘩も止めたらしいぜ！』
『マジかよ？！最強じゃん！！』
『それだけじゃないぜ！足挫いて、手ぇナイフで刺されたのに、ナイフごと相手をぶっ飛ばしたらしいぜ？』
『神かよ？！』

かなり話を盛られて・・・。

後輩の子には会釈され、東卍のメンバーには声をかけられる。そして、ちょこっと外に出ればみんなが騒ぐ始末・・・。

ろくに買い物にすら行けなかった。

「アッくん、マジごめん・・・。はいこれ、お駄賃。ついでに差し入れ。」
ア「大変だな、お前。」

そういうわけで、溝中四人衆にお使いとかを頼んだ。山岸やマコトからは、「街に出歩けよ！絶対ぇ気分いいぜ〜？」と言われたが、面倒事に絡まれるのはマジ勘弁。実際、「最強」で「神」と噂された私に絡んできた不良がいた。その時は全力で走って逃げた。怖っ。

ただ、ドラケンくんのことがどうにも気がかりだった。できれば顔を出しときたいけど、３歩歩けば絡まれるのが目に見える。

どうしたものかと頭を悩ませていると、

ア「ほらよ。」
「なに？」

アッくんから渡された紙袋の中身を見ると、そこには白いオフショルとショーパン・・・

露出度高くない？

「・・・」
ア「違う！橘とエマちゃんから慈に渡してくれって頼まれただけだ！おい、そんな目で見んな！！」

アッくんが選んだわけじゃないのね？良かった。
まぁ、アッくんもエロ本見てるけど。

でも、これを着るんだったら、絡まれないで済む。噂の私は「男」だし。
けど、女の子の恰好をしていいものか・・・。

(・・・目立たないようにするためだし、友達のお見舞いのためだし、)

いいよね？

前の人生で女の子の恰好をし始めたのは、中学を卒業してからだった。
だが、今この瞬間、私の歴史が変わった。

人生で初、女の子の恰好をしちゃいましたっ！！