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「八戒、お前の守りたかったモノ…柚葉は俺が守る。」

「…違うんだ、タケミっち。」

俺の顔、痣一つねぇだろ?と八戒が顔を上げながら唐突に言う。

言動の意図がわからなくて、思わず八戒に向き直った。

「………柚葉と…紬ちゃん……2人は、ボロボロなのに。」

守りたかった、と歯を食いしばる八戒。

「家族を、柚葉を守りたかった。無関係の紬ちゃんを巻き込みたくなかった。
けど、大寿に逆らう度胸なんて俺にはなかった。」

「逆だ。俺はずっと守られてきたんだ。」

「あれ、嘘なんだ。」





『じゃあ、テメェらはアレだな。これからは二人分殴られるワケだ。それでいいんだな?

柚葉、紬。』





幼い頃、八戒のぶんまで大寿の暴力を受けてたのは柚葉と紬ちゃんだった。

「俺を、家族をずっと守ってきたのは2人なんだ。」

俺たちの後ろにいる2人に視線を送る。
気まずそうに視線を落としている柚葉と、紬ちゃん。

「………柚葉?紬ちゃん?」

無言ということはつまり、そういうことなんだろう。





『なんで八戒に手ぇあげてんだよ!?』

『約束破んなんてそれでも男かよ!!』

『そんなモンでお前らをタテにしてやがったからよぉ、俺が躾けてやったんだ。』

『お前ら全員こっち来い、オラ。』





「紬ちゃんが家族に捨てられて離れ離れになった後も、柚葉はずっと一人で俺を守ってきた。」





『姉ちゃん……ねえ、ちゃん………、』

『大丈夫だから…八戒。』

『殴られるのはアタシだけで大丈夫だから……もう紬を巻き込めない。』

『これからは、アタシ一人で守るから。』





八戒が俺らについていた嘘。

柚葉と紬ちゃんが八戒を守ってきたという事実。

更には紬ちゃんが家族に捨てられた存在であること。

あまりのことに呆然とする。

「俺は2人がしてきた事をさも自分がした事のようにお前らに話した。」

「……お前、それって最低じゃん。」
「ダッサ。」

敵味方関係なく八戒を責める。

「もう言うな…八戒!」

「女に守られてきただけでもダセェのに、守ってきたなんて嘘どのツラ下げて言えんだ?」

「お前らに関係ねぇだろ!?アタシらが自分で決めたんだ!八戒は悪くない!」

「俺を許してくれ、タケミっち。こんな事になったのは全部俺のせいだ。俺の嘘でみんなを巻き込んだ。
本当は只々大寿が怖くて差すしかなかった。

自分の弱さから逃げる為に。」

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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇‍♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2022年10月28日 16時

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