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「どいてくれ、タケミっちくん。」
「紬ちゃん…。」

落としたナイフを手に握りしめ、大寿に向かう紬ちゃん。

「君には関係ないだろう?」

これは私がやらないといけないんだ、と殺意の籠もった目は大寿ただ一人にしか向けていない。
もう歩いてるという速度なのかすらもわからないくらいフラフラなのに。

「私が、守るんだ。」

「ユズと…八戒のことは……私が守る。」

「私が…わた…しが……守る………だ……」

呂律が回らない口調でうわ言のように『守る』という言葉を紡ぐ紬ちゃんを止めたのは、

「守る時に使うモンじゃねぇよソレ。」

ここにいるはずのない三ツ谷くんだった。

「三ツ谷…?……手、離して。」
「え?ヤダ。」

三ツ谷くんがここに来ても、紬ちゃんは大寿にしか目を向けていない。

なんでだ?どうしてそこまでして大寿を殺すことに拘る?

「守るって…約束した……」

もう、破りたくない

「それで、考えた末に出した方法が『殺し』か?」
「………。」

「アホ。守りたいんだったら、殺し以外の解決方法を模索し続けろよ。なんのための頭なんだよ。」

ナイフから手ぇ離せ、と三ツ谷くんは再度紬ちゃんに告げる。

紬ちゃんは焦点の合わない目で三ツ谷くんを見つめると、コクリと小さく頷いた。
三ツ谷くんは紬ちゃんの手からナイフを抜き取り、床に捨てる。

満身創痍な紬ちゃんを優しく抱きかかえた。

「タケミっち。紬と柚葉を頼む。」

俺に2人を預けると、大寿に向き直った。

「さて。俺が相手だ、クソヤロー。」

え!?でも三ツ谷くん自身が結んだ休戦協定は…!?

大寿もそのことで三ツ谷くんを煽るが、『黙れ』と一喝。

いつもの三ツ谷くんからは考えられないほどの低い声と険しい顔。

三ツ谷くんが、ガチギレしている。

「そんな約束よりも当たり前のことを教えてやるよ。

妹にはどんな時でも手をあげねぇ。どんな悪さも、笑って許してやる。

それが兄貴だバカヤロウ!!!」

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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇‍♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2022年10月28日 16時

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