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『紬ちゃんの手、キレイ!』
『すべすべ!』
『そーか??』
『お兄ちゃんと違って、カサカサじゃない!』
『じゃない!』
『俺は洗濯とか皿洗いとかで手ぇ酷使してっからなぁ。』
『こらこら。その言い方じゃまるで私がグウタラしてるみたいじゃないか。』
『いや実際グウタラしてんだろ、今の状態が。』
『うっさい三ツ谷。細かいこと言ってると嫌われるよ。』
いつしかの阿呆みたいな、でも阿呆なのに楽しかった会話に思いを馳せる。
かつて、綺麗だと言われた手に目を落とす。
違うんだよ。私の手は、全然綺麗なんかじゃないだよ。
あの日、人を殺した
あの日を境に、かつての兄とも、育て親とも、想い人とも、それ以外の沢山の人たちとも袂を分けた。
かつての殺しという選択に後悔したのか、と聞かれたら答えはNOだ。
あのときの選択に後悔したことなんて一度たりともない。
というよりも、それ以外にどうしようもなかった……と思う。
でも、あの選択を選んだが故に失ってしまったモノを恋しく思ってるのは確かだった。
でも、もう戻れない。
今の私にできるのは―――
「久しぶり、。」
「紬…久しぶり。」
姉であり、妹であり、そして共に罪を犯した共犯者である彼女と傷口を舐め合いながら、生きていく。
何もなかったかのように、己たちが犯した罪の後ろめたさにビクビクしながら、生きていく。
それが、己たちの代わりに出頭させてしまった弟分に対する償いなのだから。
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年10月28日 16時