大丈夫、どこでも笑っていられる。3 (ページ9)

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リリー「じゃあ、また本番もよろしくな」

打ち合わせが終わり、出番、劇場外の仕事などで一人また一人と部屋を後にする。

私の今日の仕事はこれで終了。
時刻は午後4時をまわったところ。

まだまだ自宅に帰るには早いなぁと思いながら、部屋を出る準備をする。
さて、何して過ごそうかな…

横にいるこうへいをチラッと見ると、

こうへい「家族でメシ行くねん」

目線を合わさずボソっと伝えてくれた。

こうへい「スマンな」

A「べ…別に謝る必要ないし！」

こうへい「てっきり誘ってくれるんやと」

A「えっ？」

確かに夜まで一人で過ごすには勿体ないと思ってたけども。

こうへい「離れがたいとか？」

A「う…自惚れもええ加減にしぃや」

そう言葉を返すのが精一杯やった。

リリーからもらったチョコレートを一粒口へ持ってく。

伝えたい事があるといえばあるし、このタイミングでえぇんかと悩むところでもあるんやけど…

？「俺にもくれや」

背後から白くて長いキレイな指が、チョコレートの箱に伸びてきた。

A「酒井くん？！」

酒井「１個くれ」

A「リリーからの貰いもんやけど、えぇよ」

酒井「そーなん」

A「うん」

酒井くんは手に取ったチョコレートの包を、シャツのポケットに入れた。

酒井「こうへい？」

こうへい「ん？」

酒井「A、今から借ります〜」

こうへい「許可いらんし、どうぞお好きに」

A「えっ？」

酒井「ほら行くで」

ポンポン…

酒井くんが私の頭を２回優しくタッチして、部屋から出る。

A「待って〜」

私は急いで座っていた椅子を納めて、彼の後ろ姿を追った。