大丈夫、どこでも笑っていられる。3 (ページ6)

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ゆうへい「何や。旨そうなもん持ってるやん」

机に置いたビニール袋を漁る兄。

A「ちょ！勝手に見んといて！」

いちごのチョコレートにロールケーキ、塩せんべい…
子供か。

こうへい「全部お前の大好物やん」

A「うん…」

タブレットをいじりながらも、自然と会話に入ってきた弟。

A「リリーから貰った」

こうへい「へー、よかったやん」

ホンマに？
全然感情こもってないやん。
めっちゃ棒読みやん。

ゆうへい「あ〜、そや！」

ゆうへいは漁るだけ漁って他の芸人の所へ行った。

結局、用事無いんかい！

いやいや、二人きりにさすな。
こんな配慮はいらんから。

チラッとこうへいを見ると、大きなあくびをしながら、長い腕を天に伸ばしている。

私の視線に気づいたのか、

こうへい「寝不足」

と、目をつむり、私にしか聞こえない小さな声で呟いた。

そういや、髭も剃ってへん。

A「あの、付箋見たんやけど…」

私が切り出しても、依然としてポーカーフェイス。

A「あれ、何？」

こうへいがスマホを取り出し、文字を入力してるっぽい。
　

A「何？何？」

見せられたスマホの画面には、

あの和歌と、その意味が映し出されていた。

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【春霞たなびく山の桜花見れども飽かぬ君にもあるかな】

春霞がたなびいている山の桜はいくら見ても飽きることがない。

それと同様に、いくら逢っても飽きることはないんですよ、あなたには。