大丈夫、どこでも笑っていられる。3 (ページ4)

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ファー付きロングコートを羽織る一人の男性。

本社ロビーでリリーを見かけた。

自動販売機の前でどれを買うか悩んでいるみたい。

背後からそっと近づいて、彼の横に並んでみる。

A「私は、これにしようかなぁ〜」

ボタンを押そうとすると腕を掴まれ、阻止される。

リリー「はい、Aはコレな」

なんや、見透かされてたん？

今、ボタンを押そうとしていた右手の前に
持っていたビニール袋が差し出された。

A「ん？」

袋の中を覗いてみると、私の好きな紅茶とお菓子が入っていた。

リリー「さっき買ってきた」

A「さすが〜、ありがとう！」

相手の好物を覚えておくこと。

このさり気ない優しさに世の中の女性は弱いんやろう。
全然嫌らしくないし、スマートすぎる。

リリー「惚れるなよ〜」

A「アホか！」

こうやって彼は、いつもからかってくる。

A「じゃあ、リリーはこれやね」

リリー「ん。サンキュ」

私は迷うことなく、コーヒー缶のボタンを押した。

リリー「愛されとるなぁ、俺」

A「ホンマになぁ」

リリー「今日は、えぇ一日になりそう」

彼は私の頭をポンポンと軽く叩いて、
コーヒーを取り出し口から出した。