薄紅色の靭葛【JIN】 (ページ20)

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1限が終わり皆が教室からぞろぞろと出ていく中、私は深い溜息をついた。
チャンくんの事で講義に集中ができなくて内容も全然入っていない。
疑うのは良くないのに心の何処かで疑ってしまっている自分にも嫌気が差していた。

私も2限の教室に行こうと皆とワンテンポ遅れて席を立つ。
幸い2限は同じ6号館。2階上に上がればいいだけなので気が楽だった。

「…なんか人が多い？」

階段で登った先にやたら人集りが出来ている事に気付いた私は目線を先にやる。
何故か女の子が多く、私がこれから受ける講義の教室の近くに何かあるみたいだった。

すれ違う女の子達が「高校生かな？」とか「声かければ良かった～」と話してるのを聴きながら人混みをかき分ければ、意外な人物が教室の前に立っていて目を見開いた。

「えっグギ！？」

「あ、ヌナ！」

すらりとした長身を壁に寄りかからせて立っていたのは紛れもなく自分の弟であるグクだった。
私が驚いて思わず声を上げれば、今までスマホを弄って真顔だったグクがパッと顔を上げで私を見る。

私を視界に入れた途端に可愛らしい笑顔を浮かべるグクはすぐに私の元に寄ってきた。

「何でここに…学校は？」

「ヌナがお弁当忘れてたから届けにきた」

困惑する私を他所にグクは平然とした顔で私にお弁当を差し出す。
そこで私は確かにお弁当を忘れた事を思い出し目の前の弟に感謝した。

どうやらグクはユンギにカトクで私の講義の日程と場所を聞いたらしい。
にしても一発で来れるグクはやっぱり凄い…。

「ありがとう、ごめんね学校遅刻だよね…」

「ヌナの為なら全然！ほんとはこのまま一緒に居たいけど…」

「だめだよ！」

私が即答すればグクは笑ってそう言うと思ったから学校に行くよ、と言って去って行った。
最後までヌナ～頑張って！と言っていたグクを見送ってればいつのまにか講義の時間ギリギリで、
私は急いで教室に駆け込んだ。

＊

2限が終わり私は何回も道を間違えそうになりながらも、人の波の間を潜り抜けてロッカーに辿り着いた。
道を間違いすぎて、私がロッカーに着いた頃は全然人は居なくて皆もう何処かでお昼を食べていた。

手一杯に抱えた教科書を片手でよたよたとしながら頑張って鍵を出す。
南京錠がカチッと音を立てたのに安心して、私はロッカーの扉に手を掛けると、バサバサと何かが足元に落ちてきた。

「＿＿＿え？」

視線を下に向けると、
其処には大量の私の写真があった。