薄紅色の靭葛【JIN】 (ページ19)

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次の日

ある程度察しては居たけど、
ユンギはやっぱり熱が下がらないらしく今日も1人で登校する事になった。

グクは今日こそはと学校を休んで私に着いて来ようとしたけど必至に説得して辞めさせた。

試行錯誤しながらも、私は初めて路線を間違える事なく電車に乗ることができた。
と言っても、偶々大学で見かけた事がある人を見つけてこっそり着いて行っただけなんだけど。

「これも成長だもんね…！」

心の中でガッツポーズしながら、スマホで大学の教室の位置などをしっかりと確認する。
今日は迷いませんように、と願いながら大学までの道を慎重に進んだ。

「えっと、6号館は…」

スマホを手元でぐるぐると回しながら自分がどの位置にいてどの方向に進めばいいか考えていた時、
肩を誰かに触れられて、驚きながらもすぐに振り向けばそこにはチャンくんが立っていた。

心の何処かでソクジンがまた助けに来てくれたのか、と期待していた愚かな私はチャンくんを目の前にして失礼ながらも少しガッカリしてしまう。
「あ、お、驚かせてごめん」と謝るチャンくんは私が迷ってる事を察したらしい。

「僕も6号館だから一緒に行かない？」

「え、いいの…？」

頷くチャンくんの言葉に甘えて、私は6号館までチャンくんと行く事にした。
隣に並ぶ彼は何処かソワソワとして落ち着きが無いように思える。
そんな様子のチャンくんを不思議に思っていたとき、私はふとあることに気付いた。

「(私…チャンくんに1限が6号館って教えたっけ)」

もしかしたら私の独り言を聞いていたのかもしれない。
その可能性はあるけど、図書室とかでしか会った事なかったチャンくんが私の授業の教室を知ってる事に酷く不信感を覚えてしまった。

凄く彼に失礼なのに、昨日のソクジンの言葉が頭をよぎる。
…本当にチャンくんが非通知を掛けてる人だったら？と考えたら隣に立つ彼が凄く不気味に思えた。

「…着いたよ」

「え、っあ、ありがとう！」

深く考え込んでいたのだろう。
チャンくんの言葉に驚いて顔を上げればいつのまにか6号館に着いていた。

じゃあ僕はあっちだから、と6号館の階段を登っていくチャンくんを私は暫く見つめてしまった。

「……き、気のせいだよね。」

チャンくんの姿が見えなくなった後、
スマホが非通知からの着信を受信して私は顔を強張らせた。