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独特の薬品臭が鼻腔をくすぐる。
あの後、グクは私に嫌がらせをした女2人には目もくれず私を連れて保健室へと連れてきた。

先生は不在で、とっくに5限を知らせるチャイムは鳴り終わってる為、保健室は凄く静かだ。
タオルを探すために棚を勝手に漁るグクを横目に、肩に掛けられた彼のブレザーの襟を握りながら私は俯いた。

「あ、あった。」

洗ったばかりであろうタオルを棚から取り出したグクは私の濡れた髪へ被せる。
「あとは着替えか〜」と呑気に呟くグクに私は目を向けた。


「…どうして、わかったの?」

「なにが?」

惚けた面をするグクに私は視線を逸らす。
…ほんとは分かってるくせに、私が何を言いたいかなんて。

私が言いたいのはどうして女の子と喋っていたはずのグクが、私の居場所が分かったのか。
目を逸らした私を見たグクがくすっと笑って目を伏せた。


「…Aのことならなんでも分かるよ」

「っ、」


突然頰を撫でられて至近距離でグクと視線が交わる。
冗談言わないで、と零しそうになるが、黒くて大きな瞳が私を捉えるのを見て思わず口を噤んだ。

目尻のしわが彫刻の様に刻まれて、私の心を見透かした様にグクは「冗談じゃないよ」と言葉を続ける。
私の頬骨の1番高いところを親指の腹で優しく撫でながら「泣いたんだね」と言うグクは満足そうに笑った。


「…俺のせいで苦しんでるんでしょ、
でも俺はAから離れてやれない。」

「ぐ、グク…」

「離れることなんて出来ない。
…ごめんねA」

少し眉を下げるグクはそれこそ申し訳なさそうな表情を浮かべるが、その瞳は輝いている様にも見える。
謝るグクのそのセリフの裏には『これからも俺のために苦しんで』と言われてるようで辛かった。

これからもグクは私の隣に立ちながら女の子と親くしたり好きな事をするだろう。
馬鹿な私はそんなグクに辞めてとも言えない。
妹としか見てないような彼に恋をしている馬鹿な私はこんな様な事とっくに慣れてるはずなのに。


「……ううん、大丈夫」


痛いと叫ぶ胸を抑えて絞りだした言葉に、グクはまた満足気に笑う。
その瞳が怖い、と思ったのは気のせいだと思ったが、後日の彼の行動でそれは確信に変わった。








ドクドクと静脈が弾む。
じわりと滲む汗は知らぬ間に垂れて消えていく。



「こんにちは、ジョングクの彼女です。」




そう言って眩しいくらいの微笑みを私に向ける彼女は私に手を差し伸べた。

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咲綺(プロフ) - 続きが見たいです!! (2020年5月23日 22時) (レス) id: a2e0669daa (このIDを非表示/違反報告)
Pちゃん()(プロフ) - 続き書かないんですか?めちゃ気になります! (2019年12月6日 18時) (レス) id: 00ec3437ee (このIDを非表示/違反報告)
ぐろす - けっこー経ちましたけど更新しないんですかー?楽しみにしてまーす! (2019年12月6日 17時) (レス) id: 63cd4095fc (このIDを非表示/違反報告)
Pちゃん()(プロフ) - 続き書かないんですか? (2019年10月16日 0時) (レス) id: 00ec3437ee (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - とても面白いです!!ヤンデレグクちゃんたまりません。シスコンジミちゃんにも守ってもらって、優男テヒョンにも守ってもらえて主人公ちゃんが羨ましいです(笑)更新楽しみにお待ちしてます! (2019年8月15日 0時) (レス) id: 202f553fa0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年6月12日 23時

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