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夜風を浴びながら ページ9
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親に決められた道を進まなければならない、見えない鎖で縛られた俺たちは似たもの同士だった。
また会えますかねと聞いた俺に彼女は絶対会えますよと笑って言った。
「おやすみなさい」
そう言って俺はバルコニーを去った。
『北斗、どうだった？』
樹がニヤニヤしながら俺に話しかけてくる。
「いや別に、」
『お前しらばっくれんなよ、バルコニーで話してただろ』
「見てたのかよ」
『随分と話弾んでたな、恋始まっちゃった？笑』
「そんなんじゃねえよ」
樹にはそう言ったが俺は帰る途中もあの人のことをずっと考えてた。初めてだった。あんなに気になる人ができたのは。
仮面つけてたからかわいい女がいたかどうかわかんなかったなと樹が俺の横で呟いたのは無視しておくことにしよう。
もう1度彼女に会いたい。
そんな俺の呟きは夜の風に乗って消えていった。
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作者名：まむ | 作成日時：2021年6月10日 1時
